学生からのレポート Report

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平成25年度 動物科学科新入生オリエンテーション報告

平成25年度 動物科学科新入生オリエンテーション報告

「新入生オリエンテーション」
1年次 岡田 龍

 今回のオリエンテーションを通じて、今まで知らなかった事を知ることができ、とても良い経験ができました。

 最初に訪れた静岡畜産技術研究所では、初めて見た乳牛の大きさに驚きました。一日に摂取するエサの量、搾られる牛乳の量に衝撃を受け、私たちの食生活に一番近い家畜のことを私は本当に何も知らないなと実感しました。また、現場の研究員の方々の話を直接聞くことができたのも良い経験になったと思います。

 大学付属の富士アニマルファームでは、牛舎を回りながら牛の胃について学びました。元々私自身、牛に胃が4つあることは知っていたのですが、それぞれの機能については知らなかったのでとても興味深い内容でした。また、2日目早朝に牛舎に行き、搾景を見学しました。説明を聞いた後、建物内に走っている輸送管に触れると少し温かかったのが印象的でした。

 富士サファリパークでは、予想以上に動物たちと触れ合えて思い出に残るものとなりました。また、サファリパークの方々の話では動物展示の目的として、環境保護や研究、レクリエーションという3つをあげられていました。レクリエーションといっても、展示することで動物の大切さを伝えるという大事な働きをしていると話されていたのが印象的でした。動物園の方々に直接話を聞ける機会はそうないので、貴重な経験になったと思います。

 全体を振り返って、これまで机上かメディアなどでしか得ていなかった情報を、実際に現地に赴き、見て、体験できたこの実習は私にとってとても意義のあるものになりました。

 また、畜産という分野に大きな関心を抱きました。

「動物に対する愛情の形と動物にとっての幸せ」
1年次 丹羽 菜々子

 今回オリエンテーションに参加して、主に二つのことについて考えさせられた。一つ目は、産業動物を飼育する人の動物に対する感覚だ。私には、可愛がっている動物を食肉用として育て、食べられる人の感覚がよく分からなかった。このため、大学付属の富士アニマルファームで伺った話は、とても印象的だった。動物に対する愛情の形は様々だ。愛玩動物には家族や友達と同じ形の愛情を、産業動物には美味しくなるように愛情を注ぐ。産業動物の飼育方法は、美味しくなるように様々な工夫が施されている。乳牛を例に挙げると、まず人工授精で良い雄牛の精子を選び、乳をよく出す強くて生産性の高い牛をつくる。子牛の時に小さなかまくらのようなカーフハッチに入れて母牛と引き離すことにより、ストレスに強くする。次に飼料では、一日5回その牛に必要なたんぱく質の多い濃厚飼料と牧草などの粗飼料を正確に与えている。また飼育方法では、牛を1ヶ所の広い場所で飼育する集団飼育と1頭ずつ鎖で固定して飼育する固定飼育がある。集団飼育では拘束のストレスを減らすことができ、固定飼育では一頭毎の管理を正確にできる。最後に搾乳後の牛乳は、冷蔵-撹拌しながら鮮度を保っている。これらが産業動物に対する愛情の形だ。私は食品生産にこれだけ頭を使って、技術開発や研究を行っていることに感動した。おそらく、人のエゴだけではここまで畜産業は発展しなかったであろう。現在の高い生産性を持つ畜産業は、生産者が産業動物に対して愛情があるから成し得たことだと知り、感心した。

 二つ目は、動物にとっての幸せとは何かだ。私は動物の幸せは、可能な限りストレス無く自由に好きなものを食べて生きることだと思っていた。このため、富士サファリパークで伺った話は、私の今までの概念と大きく違っていて、面白いと思ったと同時に感心した。動物は元来、厳しい野生の中で生きている。そこで富士サファリパークでは、野生に近い複数の種類の動物を同じスペースで展示する混合展示を行っている。それは、他の動物が見えることによって動物たちに刺激を与えるためだ。刺激には、プラス効果とマイナス効果がある。プラス効果は、他の動物が見えることで集団意識が高まる。危機感や警戒心を与えて、繁殖を促す。刺激により、強い個体のみが生き残り強い集団になるなどである。マイナス効果は、刺激によるショック死などで老齢個体がいなくなり、数が少ない動物は絶滅に追い込まれてしまう。他の動物から攻撃を受けて負傷し、最悪の場合は死に至る。個体間で優劣がつき、一個体の食べる餌の量に差が生じる。病気が蔓延しやすいなどである。餌の量の差に関しては、餌場を増やすことによって改善している。動物の幸せが何かは正確にはわからない。しかし、檻に入れられて何の刺激も無い環境で日々を過ごすよりも、より野生に近い状態で危険や刺激のある環境で過ごすほうが、動物本来の姿で幸せではないだろうかと思った。

 私がオリエンテーションに参加し、最も印象的だったのは実際に施設をみて、施設の方々から伺った様々な話だ。そしてそこから、以上の二つのことを考えさせられた。産業動物を飼育する人の動物に対する愛情の形、動物の幸せについてだ。オリエンテーションでの経験で、この二つに対して自分の中に新しいものの見方ができた。

 最後に、施設の方々から貴重なお話を伺うことができ、心より感謝いたします。この経験を、これからの授業や将来就く職業にも生かしていきたい。