教員からのレポート Report

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「長野県飯島町でのゼミ合宿(田植え・リンゴ摘果)報告」

「長野県飯島町でのゼミ合宿(田植え・リンゴ摘果)報告」

桑原 考史 講師(食料自然共生経済学教室)

食料自然共生経済学教室では毎年、長野県飯島町で有機無農薬栽培による米作りとリンゴの自然共生栽培を行なっています。
今年度も教員2名、3年生、4年生、大学院生の総勢20名で5月25日(土)・26日(日)に、田植えとリンゴ摘果を行なってきました。長野県飯島町は町のキャッチフレーズ「二つのアルプスが見える町」にあるように東に南アルプス、西に中央南アルプスを望む自然環境の豊かなところです。
25日は晴天に恵まれ朝8時頃にバスで大学を出発、途中談合坂と諏訪湖で休憩をとりながら駒ヶ根インターで降り飯島町に向かいました。飯島町ではまず田切地区の公民館で、お世話になる地元の方々や有機苗の提供と農業指導をしていただいている農業法人の代表との交流を兼ねた昼食会が開かれました。地元のお米や野菜をふんだんに使った料理と、地元産そば粉100%の地元名人の打ったそばに、今回初めて飯島町に訪れた3年生たちも満足した様子でした(写真1)。ちなみに飯島町は長野県産そばの種子の産地でもあります。
午後は田切地区と日曽利(ひっそり)地区で田植えです。平坦な田切地区では素足で田んぼに入り、手植えを行ないました。田植えが初めてだったり、小学校以来だったりする学生もいましたが、地元の方々のご指導のもとスムーズに作業が進みました(写真2)。こちらでは、近いうちにコブナを放流しますが、コブナが泳ぎ回る姿が見えるほどきれいな田んぼなんですよ。次に南アルプス麓に位置する日曽利地区の棚田では機械植えを行ないました。こちらの田んぼは対面に中央アルプスが望める素晴らしい光景です。田んぼには南アルプスの雪解け水が引いてあります。田植機の運転は田んぼの起伏に合わせて微妙な調整をしなければならず難しいのですが、それもまたよい体験になったようです(写真3)。田植えの様子は地元の新聞社やテレビ局の取材を受け、翌日さっそく記事になりました。また田んぼの脇にある研究室の看板の前で、記念撮影を行ないました(写真4)。
25日は当研究室の分室がある研修宿泊施設「アグリネーチャーいいじま」に宿泊し、26日は大島農園さんでリンゴの摘果を行ないました(写真5)。大島さんの話によると、春には花が多くついたものの受粉率があまりよくなかったとのことで、実は例年より少なめでした。その分、大きくて味のよい実が秋に生ることを期待したいと思います。
その後、道の駅や農業法人が運営する直売所に寄っておみやげを買い、大学には夕方に戻ってきました。学生たちは今回の有意義な経験を、それぞれのやり方で研究に活かしていくことでしょう。
最後に、個人的な感想を記します。4月に本学に赴任したわたしにとって、飯島町を訪れるのは今回が初めてでした。中央・南の両アルプスを眺望でき、自然に恵まれた環境は、ほかでは得難い地域資源だと感じました。他方で、米やリンゴといった農産物の生産・加工・販売をどう行なうか、豊富な自然環境に付随して生じる野生鳥獣による農業被害をどう克服するかなど、課題も尽きません。研究室メンバー一同、地域の強みと課題を見極め、課題克服に向けた調査・分析・提言を行なっていければと考えています。

(写真1)地元名人の打った地元産そば粉100%のそばに大満足!

(写真2)地元の方々のご指導のもと田植え作業を行う学生。素足になって、泥の中に足を踏み入れた感触が気持ちいい!

(写真3)田んぼの起伏に合わせた微妙な調整が難しかった機械植え。よい体験になりました!

(写真4)また田んぼの脇にある研究室の看板の前で、記念撮影!

(写真5)大島農園さんでリンゴの摘果。秋に大きくて味のよい実が生ることに期待!