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「この一冊」 図書のご紹介

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
新明解国語辞典 第7版

新明解国語辞典 第7版


(三省堂 2012)
2012/04/13更新201208号
分類番号は813.1。今年の本屋大賞『舟を編む』で、辞書編集の舞台裏にわくわくした方もいるのでは? 小説の中で異彩を放った“ぬめり感”を実感したい方は、いざ沢山の辞書が並ぶ図書館へ。そしてお気に入りを見つけて書店へGO!だ。

さて新学期。新入生の皆さまも、常連の皆さまも、今まで図書館とは縁遠かった在校生の皆さまも、どうぞ図書館にお越しください! 図書や雑誌は1階に、字典や辞典や事典等は2階にあります。2階の本は貸出できないけど、その代わり閲覧席で勉強するときはいつでも使える!のが利点。どうぞお気に入りの辞書を探してください。
【字典】「字書」の別称。
【辞典】「辞書」のあらたまった言い方。
【辞書】ある観点に基づいて選ばれた単語(に準ずる言葉)を、一般の人が検索しやすい順序に並べて、その発音・表記・意義・用法などを書いた本(以下略)。
【事典】百科事典の略。

とにかく語学から科学から医学から文学から、ありとあらゆる辞典類がある2階。1冊選んでぺらぺらすれば、絶好の暇つぶしにもなれば勉強にもなる。たとえば食物についての本だって、1階にずらりと揃っているけれど2階にもあるので要チェックだ。試験前の大混雑になる前に、2階もずずいと探索することをおススメする。
【暇つぶし】暇を、適当(どうでもいい事)に過ごすこと。
【探索】いろいろ手を尽くして、人の居場所・物のあり場所など、問題となっているものの所在を捜すこと。

同じ言葉を調べてみても、辞書によってけっこう違う! その面白さが話題になったのが、この「新明解国語辞典」。たとえば【ペット】を○○国語辞典で調べてみると「かわいがって飼う動物。お気に入り」と書いてあるけど「新明解」では「その家庭で、家族の一員のようにかわいがる(小)動物。[お気に入りの年少者や年下の恋人の意にも用いられる]」となっていて、いや、確かに『きみはペット』みたいな使い方もあったけど! 小動物じゃない場合もあるけど!というように、かゆいところまで説明してくれるのだ。これ、調べ始めるとハマってしまう。

コトバは生き物だ。だから、いろいろな捉え方があって当然だし、変わっていくこともある。その好例だと思ったのが【絆】。
○○国語辞典では「馬・犬・たか等をつなぎとめる綱。転じて、断とうにも断ち切れない人の結びつき。ほだし」と書いてある。「新明解」では。
【絆】[動物をつなぎとめる綱の意]①家族相互の間にごく自然に生じる愛着の念や、親しく交わっている人同士の間に生じる断ち難い一体感。②何らかのきっかけで生じた、今まで比較的疎遠であった者同士の必然的な結びつき(以下略)

②の語釈は、泣かせる。意味深い。これは「新明解」の、以前の版ともだいぶ違う(当館にあるのは第4版)。やはり最新版は昨年の「あの日」以降の辞書なのだろう。これから【絆】を引く人のために、他の辞書も変わっていくのだろうか。それとも「新明解」だからこそなのか。辞書にこんな見方があったのだなぁ。

毎日のように通う場所に図書館があるのは、たぶん大学生のあいだだけ。どうぞ存分に活用なされよ! ちなみに【大学】を引くと「①社会の第一線に立つべき人を養成する学校。高校の上。②四書の一つ。士たる者の行為の目標を示したもの」とある。社会の第一線と来たか! かっこいいぜよ。

※本文中の語釈のうち、注意書きのないものはすべて「新明解国語辞典 第7版」によるものです。

図書館 司書 関口裕子