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「この一冊」 図書のご紹介

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アッテンボローのほ乳類大自然の物語シリーズ[DVD全10巻]

アッテンボローのほ乳類大自然の物語シリーズ[DVD全10巻]


(丸善出版事業部映像メディア部 2006)
2012/07/10更新201213号
分類番号は489。あ、以前ご紹介して好評だったハダカデバネズミ、映像あります(『鋭い歯を武器に』)! 動いてます! まじまじ観られて、いやー、嬉しかった。

えっ? わざわざDVD借りなくても、テレビで動物番組を見れば事足りるって?
でも、DVDの利点もあるので、そこも含めてご紹介。このシリーズ、製作はBBC(英国放送協会)とDiscovery Channel。NHKでご覧になった方も多いのではないでしょうか。
映像が「近い」です。
ホントに近い。臨場感ありすぎ! マーモットが家族でモフモフにくっつきあって冬眠する(ベイビーは大人たちでくるむ)巣穴の中とか、フェネックギツネの分厚くフッカフカの耳のどアップとか、CG画像じゃないですからね、これ。カメラさん、腕いいです。
8巻の『木の上のアスリート』ではベローシフォカやシロテナガザルなどの、見事な木から木への連続ジャンプが観られるが、ありふれた映像にならないのはカメラの追い具合が絶妙なせいでは? トウブハイイロリスなんて、まるでオリンピックの体操競技を観ているみたいに、わくわくした。DVDです、存分に巻戻し再生してください。4巻『鋭い歯を武器に』の、げっ歯類のお食事画面なんて、観ているうちに、ドングリが美味しそうに見えてくるからコワい。ビーバーがぱりぱり木の皮を食しておられますが、まるでポテトチップスみたい。なんか、食べられそうな気がする(←影響されやすすぎ)。
そして、切り取る視点がレアだ。
オコジョが名ハンターって、意外! 自分より大きなウサギを仕留めて、リアルにバリバリ「いただきます」している画像って、ちょっとショッキングだ。赤い口が…あわわ(5巻『狩りの名手たち』)。逆にアップで観ると怖ろし気なコウモリも、翼を団扇代わりにしてバタバタ仰ぐ姿は、ガクッと来て何とも言えなかった(『木の上のアスリート』)。

しかし、本作の最大のポイントは、たぶんそういうことではない。
何と言っても、ガイド役のデビッド・アッテンボローの姿が「そこに」見えることだ。ミーアキャットが肩に乗ったり、日光浴するケープハイラックスを見下ろしていたりするのだ。これが、何とも自然なんです。動物学者のこの方、BBCの名物プロデューサーで、兄上が俳優・映画監督のリチャード・アッテンボロー(映画『ジュラシック・パーク』のオーナー役でお馴染みですね)。その穏やかな、貫録の佇まいが、本作をよりリアルにしているのだ。まるで彼と一緒に、間近に動物たちを観ているような気分にさせてくれる。

どうぞ、お好きな巻を選んで借りてください(そこもDVDのいいところ)。
生々しく残酷だったりする場面もあるけれど、とにかくみんな真剣に生きているのが感じられる。獲物を狙うヒョウが、抜き足差し足、ひと足ごとに息を殺し、足をそっと戻したり、止まってみたり、息詰まることこの上ない。もどかしかろうが、滑稽に見えようが、限られた能力と情報で、最善と信ずることを一生懸命行うのだ。
『大草原の小さな家』シリーズで、記録破りとなる長い厳冬を前に、ジャコウネズミがとびきりぶ厚い巣を築いている場面。ローラは父さんに問う「なんでこの冬がきついって、ジャコウネズミにはわかるの」「さぁな、なぜかはわからないが、やつらにはわかるのさ。その代わり、こういう巣しかつくれないんだ」。リスがすぐ発芽してしまうドングリを見分け、分別するのを観て、上記のセリフを思い出した。もう、何年前に読んだんだろう。

図書館 司書 関口裕子