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「この一冊」 図書のご紹介

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
ねころんで読める抗菌薬

ねころんで読める抗菌薬


矢野邦夫(株式会社メディカ出版 2014年)
2017/02/28更新201702号
分類番号は492.31。抗菌薬の本はどんどん入れたほうがいいよ、というアドバイスをいただいて、ちょっと読んでみたらすごかった。でも、聞いたこと(or処方されたこと)がある薬もけっこうあって、身近なことだし、読みやすい本は貴重ではないかと。

「分類番号492.31の棚に行くと、抗菌薬の本がどかっとあるだろ」
「あるある。どれにするか迷うわー。抗菌薬はなぁ…避けて通るわけにはいかへんしなぁ」
「耐性菌製造しまくりはヤバいしな。ポイント外した使い方すると効かないし」
「この本でも、なんで抗菌薬がそんなに重要か、しょっぱなでガツンと書いてくれとぉよ」
「この『抗菌薬処方のための心得』に、ページをキッチリさいてるところがな。刺さる、これはかなり刺さる」
「真剣にやらなあかんとキモに命じたわ」
「外来患者がみんな処方どおり薬のむわけないだろ!とか、よく書いた」
「せやけどほんまに、抗菌薬、手ごわいで。まず、抗菌薬の種類からして山ほどあるやろ」
「しかも名前がわかりにくい」
「そうなんや!世界史のローマ五賢帝とか思い出すわ!」
「大河ドラマの『平清盛』とかな。モリモリ言いすぎだろ!みたいな」
「なんとかリン、かんとかシン、なんちゃらゾム、かんちゃらタム…泣くわ」
「そのうえ、それが何に効くか、その細菌名や、それが原因の病名も覚えなきゃならないんだよ!」
「もはやこれ、なんかの罰ゲームか、いやがらせのノリやと思うわ」
「覚え方に悩む。この本ではイメージ化とか言ってる。で、抗菌薬を系統ごとにキッチリ解説したあと、菌や病気についてまたガッツリ続く」
「戦う相手、敵として捉えとうのが面白いわ。でも読みやすい。マンガもちょっとかわいいし、菌の記述の順番もよう考えてる思う」
「この本、もう腹くくって「ア行ではじまるばい菌」「カ行ではじまるばい菌」と来たよ」
「どうせ読みにくいカタカナばっかなんやから、これもひとつの手やと思う。ただこの先生…ちょっと笑かしてくるのが…ぷぷぷ」
「コクシエラが国試エラーって聞こえたとか、エアロビクスではありませんエロモナスです、とかな。いや、これきっと工夫だとは思うんだけどさ。覚えるキッカケにして、みたいな」
「スーパーマンのクリプトナイトとクリプトコッカスはまったく関係ありません、とかステゴザウルス(恐竜)とステノプテリギウス(魚竜)とステノトロフォモナス(菌)は似てますが無関係です、とか、当たり前や!あはは」
「ジアルジアが、最初の二文字が逆なら上から読んでも下から読んでもアジルジア、惜しい、なんて、いやもうそれは、先生の方がいろいろ惜しい…」
「そんなこんなで、まぁとっとと最後まで読めてしまうところが本書のミソ」
「あとは覚えられるかだけど、それはまぁ、抗菌薬の本沢山あるから。相性もある」
「図書館に来て、較べてみて、これが良さそうや、ゆうのをじっくり探すのがええ思うわ。
どうせいっぺんに覚えられへんし、長い付き合いになるやろ。図書館も、抗菌薬の本はつぎつぎ入れてほしい思う。見比べたいもん」
「ところでこの本、続編があるだろ。読んだ?」
「『もっとねころんで』と『もっともっとねころんで』やろ。『もっと』は、感染症治療に特化した本なんや。で『もっともっと』は、抗菌薬投与に迷う病気や症状とかについて書いてあった」
「…やっぱ、奥が深いよな、抗菌薬…」
「ここは考え方や。ゲームのキャラや恐竜の名前やなんかなら、覚えられるやろ。抗菌薬を愛するしかないわ」
「なるほど。確かにサッカー選手の名前なら、どんなに紛らわしくても混同しない」
「ロシアのフィギュアスケート選手なんて、単語帳レベルやで」
「抗菌薬をキャラ化して、ゲーム作ってくれたらバカ売れするんじゃ」
「とりあえず誰か書いてくれへんやろか。萌え系抗菌薬本。超ほしい」

図書館 司書 関口裕子