図書館MENU

シュウカツの友

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
image

学校獣医師の活動と診療

中川美穂子 (ファームプレス 2008年)
2009/08/27更新 022号
“学校飼育動物に、なぜ獣医師がかかわるのか?”という問題提起から本書は始まる。
学校にはお休みだってあるし、責任者を決めるのも難しそうだ。学校飼育というのが、実はけっこう大変だ、というのはちょっと考えればすぐわかる。

本書には、従来の学校飼育の問題や、学校と獣医師の現在の連携状況などが詳細に記されている。そして、これから獣医師側が起こすべきアプローチ、飼育に適した動物・飼い方、アレルギーや寄生虫の問題など、どのテーマもとても具体的だ。
現在、苦しんでいる学校飼育の動物や、それを見ている子供の心を救いたい。
教育者・獣医師の固定観念を変えていきたい。
その価値が学校飼育にはある、何より子供の教育への影響は大きい。そう信じる「本気度」がひしひしと伝わってくる。ウサギ・モルモット・ハムスター・チャボ・文鳥・インコ・カメ・淡水魚、と、それぞれの性格や飼い方、主な疾病と治療法のページがあり、写真や参考文献もふんだんに載せてある。
本書一冊を頼りに、行動を起こす人もいるのではないか、起こせるのではないか、と希望が持てるような一冊だ。教職課程を取ろうと思っている方、また獣医師を目指している方にはぜひ手に取っていただきたい。
なお、鳥インフルエンザ、サルモネラ症など、不安視される疾病についても別ページで対処法が記載されている。初心者でも説明に困ることはないだろう。抜かりはない。