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シュウカツの友

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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「食料の世界地図[第2版]」

大賀圭治(監訳) (丸善 2009年)
2010/03/10更新 034号
生きていれば誰でもおなかがすく。そのとき、食べたいもの、食べられるものを食べるだろう。人の営みのもっとも基本的なことのひとつである。
さて、世界を見渡すと、その「基本的なこと」に、あらゆる事情が隠されている。まるで隠し味みたいに。誰にとっても無関係ではない。シュウカツで小論文のお題に出るかもよ、というこの機会に、ぜひ本書を手にとってみてほしい。
バイオマス燃料、水不足問題といった時事問題から、食品添加物や遺伝子組換え作物についての基礎知識まで、読み終わる頃にはぴたりと身につくこと請合いである。どのテーマも見開き2ページにすっきり納まっているし、カラフルなグラフやイラストがふんだんに使われたレイアウトは見やすいことこの上ない。

さほど厚みもない本書1冊で、ニュースがぐんとわかりやすくなり、大いにココロづよくなるだろう。なお、初版は2005年で、内容も多少違う。初版の「フードマイレージ(食物の搬送にかかる環境への負荷)」という項目は、本書では「温室効果ガス」にまとめられている。運搬手段によっての負荷の計算式の違いが予想以上に複雑であったこと、農業から発生する温室効果ガスについて多角的な視点がもたれるようになったことなどが反映されたと思われる。2冊を読み比べ、世界の移り変わりを見て考察すれば、小論文のひとつやふたつ、イケそうである。すぐれた一冊である。