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シュウカツの友

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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「魚の経済学」

山下東子(日本評論社 2009年)
2010/03/10更新 035号
「シュウカツに備えて知っておこう世の中の仕組み」、おサカナ編である。
日本人はサカナ好きな民族である。「サカナ離れ」「サカナ嫌い」「サカナが食べられない」という風潮が嘆かれたりするが、それでもまだまだ、世界に比べて「サカナ好き」なのである。本書の冒頭にもあるが、一人あたりの消費量は最多(※注;人口百万人以上の国のなかで)、国全体の消費量も中国に次いで多いそうだ。四方に海がありながら、せっせとサカナ関連を輸入しているのも、「足りない!」からなのである。
では、世界ではサカナは足りているのだろうか。

実はサカナについての現況を切った本は多いのである。読みやすい新書でも、当館は「これから食えなくなる魚」(幻冬舎新書/分類662.1 K-1)、「イワシと気候変動:漁業の未来を考える」(岩波新書)、「イワシはどこへ消えたのか:魚の危機とレジーム・シフト」(中公新書)などを所蔵している。
が、本書はなかでも読みやすいし、特定のサカナに限らない内容なのでオススメである。著者は本来、経済学の教授。だから、漁業の専門知識については「よく学んだ」「調べた」という感じで、それをわかりやすく(しかもくつろいだ文体で)届けてくれる。また、女性ならではの視点も生かされているように思う。「なぜ消費者はだまされるのか」「漁業はエコか」「魚の人生を考える」など、章立てもユニークだ。

経済学の本は、なかなかイケる。経済とは、すなわち生活のひとつの見方である。