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実況中継 大学生のためのキャリア談義
―就活本を読む前に―

山本直人 (株式会社インデックス・コミュニケーションズ 2007年)
2010/04/07更新 039号
いやぁ、まいりました。これから働くひとにも、もう働いてるひとにも、オススメです。
個人的には、目からウロコがばりばり落ちて、視界が(一時的に)クリアーになった。
言いたいことをスッキリと言葉に表現する、これが実にうまい。そして「言いたいこと」が、きちんと経験と思考に裏打ちされている。ウソっぽくない。さすがにメディアで「飯を食ってきた」人だなと思う。でもとても、まっとうな人だ(読むかぎりでは)。

著者の「大学で学ぶ姿勢で重要なのは、問いを発することに尽きる」という主張を読むと、これら「スッキリした答え」が、著者の思考の長年の成果だというのがわかる。書いてあることもとても地に足がついている。「自己実現やなりたい自分という言葉が溢れてきた理由は?」という問いへの答えが「それを教えてビジネスになることに気づいた人がいるから」。また、スポーツをやってきた人が評価されるのを分析して「頑張って負けた経験をしているから」。なかなかこうはスパッと言えない。
そして、本書を読む最大の成果は「就活で周りに振り回されてはいけないよ」ということが実感できることではないだろうか。メディアに煽られるのは、その背景をしっかり自分で考えないからなのだ。

なお、学生との質疑応答も収録されていて、こちらもいい。こういうちゃんとした大人に対して発せられる質問は、ホンネだから。図書館員として特筆したいのは「視野を広げることに将来役立つものは?」という問いへの「読書、とくに古典を読むこと」という答えだ。読書というのは「未経験の事柄を疑似体験する」すばらしい機会だ。すぐに役に立たなくてもいいのだ。そういう貴重なものを蓄積するのに、学生時代ほどいいときはない。心からそう思う。