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酪農家♥獣医師~一緒に知恵を絞る本
―飼養・栄養管理の理論と実践を結びつける―

田山 善男 (デーリィ・ジャパン社 2007年)
2009/5/25更新 001号
著者は、酪農家のご長男。ご実家の酪農業を営みながら、農業共済組合連合の診療所にもお勤めである。「獣医師というのは牛を見る先生のことだと思っていた」そうだ。
獣医さんと言えばイヌネコ、というのが世間一般の見方であろう。稀な人材である。
さて、酪農業、といってもなかなか素人には実態が想像しにくい。著者は診療業務の他に、栄養・生産管理や感染症対策に関わっているため(生産支援研修センターの活動)、紹介されるネタがホントウに多岐にわたっているのが頼もしい。牛用サプリメントや飼料設計システム、バケットミルカーといった専門用語を紹介しながら、「乳頭は拭いてね」「蹄鉄は何でできているの?」など細かくコラム風に載せている。
「ピンクの乳房」について電車の中で話していて笑われたこと、救急車やパトカーが出動したエピソードなど、最後まで退屈しない。そして「おいしい牛乳とは」「いきなり半年後の分娩数を即答できるか」といった章では丁寧に見解を述べている。

鳥インフルエンザ、狂牛病などが社会問題となっている現在だが、未だいろいろな情報が行き届いていない酪農家もあるようだ。産業獣医師の存在は、これからますますクローズアップされていくに違いない。手に取りやすい厚さの本書を、ちょっと読んでみてはいかがだろうか。