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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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カンガルーの憂鬱
―動物の森・獣医さんの奮闘記―

高田真理子 (海鳥社 2000年)
2009/5/25更新 002号
著者は、福岡市にある国営・海の中道海浜公園にある「動物の森」の獣医さん。
ウサギやモルモット、ヒツジ、ポニー、それにカピバラやカンガルー、フラミンゴなどが彼女の患畜さんだ。公園のホームページには「動物の森は78,000㎡の広さの中に約50種類約500点の動物たちが、家族や群れで自然に近い状態で生きている姿をまじかにみることができます」とある。時にはお客さんが招くトラブルもあるようだ(例えばポニーにガムをあげてしまったり)。
内容はまさに奮闘記。リスザル島襲撃事件、オオバタンのお見合い、「水鳥の池」のベビーラッシュ・・・毎日、スタッフと共にああでもない、こうでもないと試行錯誤している様子が伺える。
努力の甲斐なく残念な結果に終わってしまうこともあるが、読むだけで顔がほころんでしまうエピソードも多い。彼女の人柄によるところも大きいように思う。

春、ロバのローザの難産から始まる本書は、四季をひとめぐりして、動物たちが森を卒業して全国に旅立っていくところでひとまずエンドマークとなる。大変さも喜びも、淡々と素直に綴られていて、読んでいて楽しく、時々切ない。