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はたらく人びと

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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パンダの腹時計
―汗と涙の飼育日記4500日―

佐川義明 (講談社 1985年)
2009/6/2更新 003号
カンカン、ランランが日本にやってきた初のパンダである。
カンカンが亡くなったのがもう30年も前だから、当時の熱烈歓迎ぶりも、学生の皆さんにはあまりピンと来ないかもしれない。
すごかったのである(さすがは世界三大珍獣、パンダフィーバーは海外も同様らしい)。初パンダである。データがぜんぜんない。国賓のような動物だ。
それを育てるのだ。
責任という重圧感が迫りくるようである。が、もう黄ばんでしまった本のページをめくると、その緊迫感と共に、初めてのパンダとのふれ合いが生き生きと伝わってくる。お粥の味つけに四苦八苦したり、遊び道具として「世界初の試み」で古タイヤを与えてみたり。雪が降れば雪だるまをつくってあげ、暑ければ即席シャワーをつくってあげ…。
皆が息をのんで待った二世誕生、そして、ランラン、続いてカンカンの突然の死。
あとがきには「動物たちは、人間に考えるヒントを与えてくれる」と書かれていた。これは、動物と接する仕事を語るとき、よく登場する言葉のように思う。
読むたびに違った意味が伝わる、大きな、深い言葉である。