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はたらく人びと

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仕事が人をつくる

小関智弘 (岩波新書・新赤版750 2001年)
2009/6/24更新 006号
“中央線の武蔵境駅で降りてバスに乗った”という第3章の書出しに思わず引き込まれた。
スペースシャトル搭載のカメラもつくった「三鷹光器」の中村義一さんの紹介だった。そうか。そんなに身近に世界的技術を持った企業があるのか・・・。
フェラーリに部品を提供する安田工業の児玉繁光さん、染色という技をデジタル化した茶周染色工業の久保田信夫さん、皇居の玉座をつくった椅子職人の長谷川清一さん、ユネスコに頼まれてアンコール・トムの聖木を伐採した“空師”飯田清隆さんなど、10人が“聞き書き”によって紹介されている。聞き手もまた名高い“粋な旋盤工”小関智弘さん。
読むほどに日本人であることが誇らしくなってくるような本である。
彼らとは育った時代が違う。そう思ってしまいそうにもなるが、本当にそうだろうか。
どんな職場にも、工夫を懲らし、時には新しくつくりだし、周囲と助け合いながらその場を支えている人はいる。職場の規模には関係ない。働くなら、そういう人になりたくないか。まぁ、理想だけど、でも、思うだけでも。