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幸せな牛からおいしい牛乳

中洞正(コモンズ 2007年)
2009/7/8更新 010号
『牛乳の未来』でも紹介されていた中洞牧場の「おいしい牛乳」への道のりである。
「山地酪農」というと必ず名前があがるこの牧場は、岩手県の北上山地にある。が、“四季・むかしの牛乳”は、今や通販を通して全国から注文が入る人気商品だ。三越や伊勢丹といった大手デパートでの販売も増えてきている。
ここまで来るのに、どんな道を通ってきたか…というのが本書の内容なのだが、その過程で、現在日本のスーパーで売られている“牛乳”がどんなものか、そもそも日本人と牛乳とのかかわりはいつ始まったのか、などがわかりやすく語られる。また、“エコ牛乳奮戦記”としても、ゲリラ的なスタートからなかなか迫力があって、すごい。

農薬や輸入飼料を大量に使う農業・酪農は、これからは大いに議論されるに違いない。第一に「食の安全」、第二に「エコロジー」の観点からである。とにかく財布のヒモがカタい、と言われる現代人が「それでも安全なほうがいい」と言い出したのだ。最近の食関連の“ありえない”ニュースを見れば、まぁ当然だけど。
「安全とは手がかかるから、尊いものなのだ」ということを実感するためにも一読をお薦めする。もちろん、将来酪農関係に進む方は、参考としても、ぜひ。

なお、中洞牧場は、現在は「しあわせ乳業株式会社」で検索するとホームページにヒットする。“四季・むかしの牛乳”やアイスの通販フォームもあるので、ご参考までに。