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はたらく人びと

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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かあちゃん、命と向き合う
-海獣医師 勝俣悦子の仕事-

(プロフェッショナル仕事の流儀DVD NHK 2008年)
2009/7/15更新 013号
彼女は通学途中の新宿駅で、貼ってあった1枚のポスターに目を留め――卒業後、頼み込んで職を得た。

日本の海獣医師のパイオニアである。海の生き物は生態からして、圧倒的に謎が多い。彼女が学んだ牛や豚の医療では、歯が立たなかった。体の構造からして、違う。
先輩もいない。手探りで失敗と成功を繰り返していくしかない。
野生動物は本当に体調を崩すまで、いつもと同じに見える。「先手必勝」と、彼女は言う。しかしそれは、常に「決断」を迫られるということだ。

いつもと違う、という事だけがわかるセイウチ、アザラシ、イルカ…だがどこが悪いかがわからない。
たとえわかったとしても、治療に先例が無いこともある。例えばセイウチのムックが感染症に侵され、牙を抜かなければならなかったとき、日本にはセイウチの手術の先例はなかった。
「攻めなければ道は開けない」彼女の言葉は説得力に満ちている。「新しい分野を切り開くときに必要なことは?」の問いに、彼女は答える「あきらめないこと」。

国内で13ヶ月以上育った例のないカマイルカの赤ちゃん、キララ。まだ5ヶ月だ。痩せ細り、体表も荒れてきた。血糖値が下がっていく。流動食を与えるが、回復しない――キララの命を、救えるか。