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奇跡のリンゴ
-「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録-

石川拓治 著・NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班 監修
(幻冬舎 2008年)
2009/7/22更新 015号
農薬を与えない。
化学肥料も、有機肥料も与えない。農業機械は一切畑に入れない。
土と、草と、虫たちの自然の営みの中に、そのリンゴの木はある。
普通は数メートルの「根っこ」が、なんと20メートルの深さまで、悠々と地下に張り巡らされている。
ふかふかの土の匂いがたちのぼる地だ。大型台風が付近を直撃し、大半のリンゴが落果しただけでなく、木そのものさえ吹き飛ばされていたとき、「彼」のリンゴだけはほとんど揺るぎもしなかった。

2006年12月、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』で、この「奇跡のリンゴ」が放映された際は、異例の大反響だったという。本書もすでにベストセラーである。
何が、それほどまでに人々の心をかきたてたのか。
それは、読むしかない。すごい。
フィクションならあざとすぎて、ちょっと読めなかったと思う。
このリンゴを食べてみたい、と思わないひとがいるだろうか。
「このリンゴをつくってみたい」と思うひとが、いてくれるだろうか。

不可能と言われた「無農薬無肥料のリンゴ」に挑み、追い詰められ、死を覚悟した木村氏が、ひとり登っていった深い深い山中で見たものは――。