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はたらく人びと

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フード工場千夜一夜物語
―旬を届ける生産の知恵―

ジーン・中園 (日経BP出版センター 1994年)
2009/7/29更新 016号
工場エッセイ、とも言うべき珍しい本である。それも、製品ではなく、原材料の工場だ。
著者は<マクドナルド>で「クォリティアシュアランス(品質保証)部」に所属していた。業務内容は「日本および海外にある提携の食品・紙製品製造工場を訪問し、マクドナルド社の原材料が定められた規格通りに製造されているかどうかの確認をする」。

工場、とひとくちに言っても、内容はさまざま。はたらく人間も、現場関係者もいれば、オフィスの管理者もいる。
彼らと会いつつ、日々、著者は工場を見回り、よりよい状態へ導いていくわけだ。
コラム式にサラサラと綴られる内容はどれもわかりやすく、なんだか平板な気がするかも。が、実は結構考えさせられる話で、食品の工場でもエラく杜撰で不衛生なところもあるし、このエコな時代にずいぶんとムダをしているところもあるのだ。
「事件は現場で起きてるんだ!」じゃないけど、まさに「現場」で、そういったコマカイ指示を出して歩くのはさぞかし大変だろう。しかしこれからの時代、エコロジー・品質・経費削減のどの点から考えても、工場や物流といった地味な部分を大切にする会社は強いと思うのだ。
メーカーへの就職を考えている方は、会社選びにも本書を役立ててほしい。