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イヌは人生のパートナー
―盲導犬訓練士 多和田悟の仕事―

(プロフェッショナル仕事の流儀DVD  NHK  2008年)
2009/11/18更新 027号
クィールを育てた訓練士である。

「盲導犬」を育てる。そして「盲導犬を育てる人」を育てる。それが彼の仕事だ。
番組の中で彼は言っている「人を育てるほうが難しい」。人には、より強い動機付けが必要だ、人のほうがいろいろ考えてしまうし、誘惑や言い訳も多いから、と。
その言葉は「盲導犬を育てる」ということの困難さをズバリ表現してはいないか。番組を見ていてもホトホト感心してしまうが、イヌに「グッド」を教えるのすら、思うようにはいかない。多和田氏も強調していたが、イヌは人間の言葉を理解しているわけではないのである。が、イヌを観察し、イヌのキモチになり、試行錯誤の末、歩み寄ってようやく「共通のコミュニケーションをとる」ことができる。
そして、ようやく育てあげた盲導犬を、今度は特定のユーザーが一緒に行動できるよう、訓練しなければならない。盲導犬も一頭一頭、人間も一人一人、クセや個性がある。
気が遠くなるような作業だ。しかもそれは、人の生命すら関わっている…。

投げ出してしまいそうになる日も多いに違いない。

が、そこを「志を燃やし続ける」ことで乗り越えられるようにする。彼は今、その手助けをしている。
視力を失ったひとに「希望」が見えるように。それが、自身にもたらす喜びを知っているから。

「何のために働くのか」を忘れないことは重要だ、という彼の言葉は重かった。そうすれば、ブレたときも戻ってこられる、という。盲導犬を育てる困難は、人生のあらゆる困難を端的に表しているように思える。「思いどおりにならない」ときに、どうするか。
彼もまた、苦闘の末に現在の場所にいる。