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自然職のススメ

出山 健示[文]・水谷 充[写真] (二玄社 2009年)
2012/09/10更新 059号
そう、ここに登場する「自然職」(農業・漁業・林業)の方々の共通点は「転職組」であることだ。
これは本書の企画から意図したことで「外の世界を知る視点」が欲しかったという。また、第一次産業への転職希望者が増える一方で、定着率が伸びない理由のひとつに「知っているつもりで、ちゃんと知らなかった」という背景があるのではないか、と考えられたからだそうだ。
稲作・畑作・果実や花の栽培、酪農と、取り上げる人物は農業だけでも多方面にわたっている。漁業も「定置網漁」「はえ縄漁」「内水面漁業(シジミ漁)」と各種ある。それぞれに「就業までの過程」「成功の決め手」「失敗の経験」を具体的に挙げてもらっているのが特徴だ。
インタビューも細かい。談話式のページもあるが、具体的な質問(新規就農の可能性は?、一日の仕事時間は?、など)に答えてもらう箇所もあり、情報量は多い。

読むと、定年近くの転職組もいれば、フリーターから一転した若手もいる。また、今回取材を受けた方々はリーダーだが、彼らが率いる「チーム」も見えて、生き生きと働く若い人が沢山いることがわかる。そこに至る過程もさまざまだ。
「こういう生き方をしている人もいる」そして「もしかしたらこういう道が向いているかもしれない」と、本書から気づく方がいれば、本書はきっと喜ぶだろう(本が喜ぶというのはおかしいけど)。人にはいろいろな幸せがあり、自分向きの幸せに気づけないというのは、残念なことだから。