はたらく人びと

本書は中学生向け。だが内容は本格的で、動物園・水族館ともに、いろいろな仕事が連携しつつ運営されていることがよくわかる仕組みになっている。園内をイラストで表示し、そこに散らばるさまざまな仕事を紹介する「イラストで見てみよう」のページなど必見だ。日本動物園水族館協会の紹介などもされていて、きめ細かい。
どうしても飼育係がクローズアップされるが、本書では他に、飼料係、広報、獣医師、トレーナー、設備管理、園内ショップの販売員の仕事などにも光を当てている。注目は「種別調整担当者」。“繁殖のペアをつくる、仲人です”という紹介が的確である。全国の動物園水族館と連携して“種の保存”に取り組む仕事で、具体的にはブリーディングローンの窓口として動物を貸し借りしたり交換したりしているとのこと。絶滅のおそれのある野生動物もいるので、重要な仕事である。
それぞれインタビューも収録。園長・館長のインタビューもある。サポーター、後援会にいたるまで記述があり、読みではたっぷり。