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平成29年度 第3回FD講演会
「学生が満足する長時間授業-東大105分授業の事例から―」を開催しました

 平成29年度の第3回のFD講演会が、去る12月11日(月)に開催されました。阿久澤良造学長をはじめ教職員63名が参加されました。今回は「学生が満足する長時間授業―東大105分授業の事例から―」について東京大学大学院総合文化研究科・教養学部付属教養教育高度化機構アクティブラーニング部門 特任助教 福山佑樹氏にご講演いただきました。
 本学においても平成30年度からこれまでの講義が1コマ90分×15回から100分×14回に変更となります。講義回数が1コマ短縮されることによって、学生の休暇期間が1週間長く取ることができます。このことは、これまで以上に学外実習やインターンシップ参加など、学外での貴重な経験の機会に繋がるものと思います。そして、学生のみならず、私たち教員にとっては所属研究室学生への教育や自身の研究活動の時間に充てることもメリットの1つとして挙げられます。しかしながら、これらメリット以上に考えなければならないことは、1コマあたりの授業時間を10分長くなることにより生じる課題であります。それは、『講義への集中持続』、『学生のモチベーション維持』、『1日における講義の終業時間が遅くなること』などが挙げられ、今まで以上の効果的な学習効果を狙った講義スタイルの構築が求められています。

 そこで、本講演会では2015年度から1コマ105分授業を採用している東京大学における事例やその取り組みの紹介について、福山佑樹先生にご講演いただきました。福山先生が所属されている東京大学教養学部付属教養・教育高度化機構アクティブラーニング部門では、駒場アクティブラーニングスタジオ(KALS)を設置し、教養教育を中心に授業へのアクティブラーニングの導入や実施を支援する機関で、初年度の教員やTA(ティーチングアシスタント)のためのワークショップやセミナーを実施しています。本学においても、これまでのFD講演会やワークショップの開催によって、『学習支援システム』の導入や『アクティブラーニング』の有効性について認識され、馴染みのあるキーワードであることから、非常に興味深い内容でありました。
 『アクティブラーニング』の第一歩として、何を目標として掲げていくかが重要とされ、伝統的要素に分類される①講義型および②講義=心型、そしてアクティブラーニング型授業要素としての③講義+AL型、④AL中心型の4タイプに分類されることが紹介されていました(詳細は溝上真一氏のHP参照)。

 AL中心型については講義内容および受講生の履修規模によっては難しい場合があるものの、講演中に紹介された『ジグソー学習法』については私も大変興味深く拝聴していました。この方法は、与えられたテーマに対する知識をグループに参加するメンバーが断片的に与えられ、それを対話や相談の中で完成させていく学習法(参考:東大TV『映像で見るアクティブラーニング』http://today.tv/contents-list/lesson/komex)で、さまざまな分野において取り入られている学習法のようです。恥ずかしながら私はこの講演で初めて知る内容でしたが、福山先生はインターネット接続によって外部リンクの動画を参照し、説明を行うことで私の理解を深めてくださいました。これこそ、口頭の説明に留まることなく、視覚(映像)によって紹介し、私を理解させ、普段の教育活動に活かせるかどうかを連想させる『アクティブラーニング』の一種であると身をもって感じました。そして、講演中では、本学教員から『アクティブラーニングの取り組み事例の紹介』、『講義中に実施したコメントシートへの対応法』、『反転授業実施時、履修科目が多い学年(学科)に対して精神的な苦痛緩和方法など』などについて議論が交わされていました。このようなことからも本学教員の意識の高さが伺えました。

 また、上述の魅力的な講義スタイルの構築に加えて、学修支援における本学のハード面およびソフト面から環境を充実させることが、これまで以上に重要になってくると思います。具体的には、5コマ目の講義を履修した場合、その終了時刻が18時20分となり夜遅くになってしまうことが挙げられます。これは、翌日も1コマ目から授業に出席する場合、学生の体力的、精神的な配慮が必要であることや、学生のレクリエーションとなるサークルや部活の活動時間を制限してしまう可能性を意味するからです。学生の勉学に対する意欲を誘発することも重要でありますが、片道約1時間30分ほどかけて自宅から通学してくる学生も多い本学の特徴として、とても重要な課題であります。そのためには、私たち教員は『時間割の構成』、『学生の心の余裕の確保』、『仲間意識を養えるレクリエーション(社交の場)の提供』などを心がける必要もあると思います。

 大学における講義・実習はその教員の特徴(個性)があっていいものと思いますが、ICTやLMSの活用は学生の『高次思考を伴う課題』に対して魅力的かつ効果的な教授方法の一つであることは間違いありません。よりよい教育研究の環境を整えることができるようにFD委員会として、今後益々、励んでいく必要があると思いました。

FD委員 動物科学科 動物生産化学教室 助教 白石 純一