平成28年度 学位記授与式 式辞

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

平成28年度 学位記授与式 式辞

 本日ここに皆さんをお迎えし、日本獣医生命科学大学、学位記授与式を挙行できますことは、本学にとって大きな喜びであります。ただ今、大学院課程修了生23名、博士論文審査合格者2名、学部卒業生377名の皆さんに、学位記をお渡しいたしました。修了、卒業おめでとうございます。学びへの取り組みが、学位記の授与に至ったものであり、皆さんの努力に敬意を表します。教職員一同、心からお喜び申し上げます。

 そして、本日、ここに坂本理事長をはじめ理事、監事の皆様、日本医科大学弦間学長、亜細亜大学栗田学長、日本医科大学看護専門学小泉校長、中條同窓会長、岩崎父母会長、歴代の学長である池本先生、紺野先生、また、名誉教授の先生方、同窓会、父母会役員の皆様のご臨席を賜り、誠に有難うございます。

 さて、日本獣医生命科学大学を学びの場として選ばれた皆さんは、武蔵境という都市と自然の融合した環境の中で、活力に溢れ、充実した学生生活を過ごされたことと思います。また、先生方の温かい薫陶、事務職員の支援のもと、学友たちと過ごした数々の思い出を胸にいだき、巣立っていかれることと思います。

 皆さんの在学中を振り返りますと、大学院獣医学専攻博士課程の方は2007年、大学院後期課程の方は2008年、大学院前期課程、獣医学科の方は、2011年に入学されました。その間には、東日本大震災があり、その後、現在に至るまで、着実に復興を遂げる地域と、被害を受けた原子力発電の、廃炉の見通しがたたないまま、今なお、居住が、かなわない地域があり、今後も復興に向けて、日本全体の問題として、取り組みを続けていかなければなりません。
 獣医保健看護学科、動物科学科、食品科学科の皆さんが入学した2013年は、2020年東京が、オリンピック・パラリンピックの開催地として決定された年であります。国際的には、アメリカ大統領オバマ氏が再選、さらに4年後の本年には世界が注目する中、トランプ大統領の就任になり、アメリカ社会に大きな変化の波が起こり、国際情勢にも影響を及ぼしています。皆さんは、この10年、9年、6年、4年、プラスαの方もいるかと思いますが、その間、様々な社会の変化、大学生活の変化を、どのように感じて、向きあってきたでしょうか。入学の時、抱いていた夢、期待をどの程度実現できたでしょうか。振り返ってみる良い機会にしてほしいと思います。

 ところで、皆さんは、大学というステージで学生社会を築き、経験を積み、そこで発生する様々な変化に対応してきました。
 これからは、学生時代には、経験しなかったような変化を、生活、仕事に直接受けることになります。社会の状況が目まぐるしく変化し、技術は急速に進歩する中、自らがそれらに対応していかなければならなくなります。

その変化は、さまざまな形で現れ、対応次第で結果に大きく影響を及ぼします。あえてリスクを取っても、積極的に変化を受けとめ、問題解決に臨機応変に対応することが要求されるでしょう。新しいものを生みだそうとする時には、勇気と決断が求められます。失敗の可能性も当然あります。失敗を恐れて手を付けないより、失敗を繰り返しても挑戦し、心を折ることなく、努力を続けてほしいと願っています。この積み重ねこそ、皆さんの対応力を鍛えると私は信じています。

 大学で学んだことが即実践できることは、少ないでしょう。いかに本質を見抜き、動向を理解していくためには経験の蓄積が必要となります。一口に経験と言っても、単なる時間の経過ではなく、いかに自覚のある主体的な経験であるかどうかが、重要であります。皆さんが本学で学んだことは、全ての基礎となっていることに自信をもって、固定観念にとらわれず、課題を克服するために奮闘してください。
 自分の内なる声を聞くゆとりを持ち、自分で決断したことに、最後まで向き合う折れない心を持って、社会で活躍されることを願っております。

 ご家族・保護者の皆様は、この日を心待ちにしてこられたことと存じます。皆様の本学へのご支援に心から感謝するとともに、お慶びを申し上げます。
 学生のみなさんは、この機会に、今まで見守り育てて頂いた多くの温かい励ましを振り返り、「ありがとう」の心を表現してください。いつも誰かに支えられていることを、忘れないでほしいと思います。

 結びになりますが、日本獣医生命科学大学は、皆さんが勉学や仕事上でのアドバイスを必要としているときには、学部・大学院の壁を越え、協力を惜しみません。また、近くに来られることがあれば、先生や教室を訪ねてみてください。歓迎いたします。社会人同士としての語らいを大いに楽しみましょう。

 母校となる、日本獣医生命科学大学で学んだことを誇りとし、希望に満ちた未来社会を、切り開いていく推進役として成長されますことを、心から祈念して、式辞の結びといたします。

平成29年3月9日
日本獣医生命科学大学
学長 阿久澤良造