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第13号:「命を考える」

吉村 格(准教授/牧場長補佐)

2007/9/11 更新
 大学の附属牧場で動物を飼養している場員達は、「命」に対して共通の認識を持たなければ動物の管理という仕事はできない。自分の立ち位置を明確にしておかなければ、「命」に対して感受性の高い学生の指導などできるわけがないからである。
 牧場実習の初日に、我々は管理下にある家畜を「可愛がらない」「愛さない」ということを強調して言うようにしている。潮が引くような学生達の態度、言ってくれるなという引率教員の困惑顔を尻目に、批判は受ける覚悟であえて宣言をしている。なぜなら、残念ながら「愛は虚ろぐ」ことを知っているし、「愛した動物は殺してはいけない食してはいけない」と考えるからである。
 我々は技術屋という生活者である。先人から受け継いだ動物に対する知恵と、天が自分に与えたセンスと、これまで積み上げてきた技術と、さらには最大限の自己犠牲をもって、「今」を生きる家畜の苦痛やストレスを出来る限り少なくするという仕事に努力を傾注して
 いる。
 富士アニマルファームでの実習が、「傷つく命」「死にゆく命」について具体的に考える起点になれば、上手くはない場員の説明も、食料として「命」を奪われることになる動物たちの「穏やかな眼差し」に少しは応えることになるのではないかと思っている。