ブログカテゴリーイメージ
前へ戻る

第27号:鉄は熱いうちに「早期臨床実習」

吉村 格(准教授/牧場長補佐)

2008/5/27 更新
 「鉄は熱いうちに打て」とばかりに獣医学科に入学を許された新入生が早期臨床実習と称して富士アニマルファームに押しかけて来た。憧れの獣医師となるために限りなく暗い青春を過ごし、20倍の難関をものともせずに乗り越えた強者達である。
 爽やかな新緑の富士ヶ嶺高原に降り立ち富士山を仰ぎ見て「快哉」の勝ち鬨を挙げ獣医師の卵として第一歩を踏み出した。しかし、聴診器を首からぶら提げ満面の笑顔で動物たちと接する彼らは既に「卵」ではない。動物の体温で彼らの心は火照り、筋肉の微妙な動きは彼らを興奮させ、動物たちの緊張した息遣いは同じ心ある生き物として彼らを魅了する。彼らの精神は現役で働いている獣医師よりも「動物たちの命を救わんとして」さらに高く未来を飛翔している。彼らをつぶさに観察すると、まだ幼さは残っているものの賢い顔つきである。言葉への反応も良い。斜に構えず大人と対峙することができる。明るく元気である。友達との仲も良い。きっと素晴らしい学年に育ってくれるに違いない。期待をもって見守りたいと思う。
 この実習は、内科学教室の教授と講師、新入生の担任と引率の女性職員の4名だけがメンバーとなって実施されているものである。富士アニマルファームの場員は日常の業務で消耗しきって戦力になり得ていない。今回の実習を裏方としてしっかりと支えてくれたのは6年次の学生3人(古内・井澤・貞広)と今年卒業したばかりの本田先輩である。新入生のことを何かと気遣い、自分の実習がそうであったように今回の実習も充実したものとなるようにと心を砕く彼らの存在こそが我が大学の教育の賜であると私は確信している。彼らのような利他的な働きがあればこそ、素晴らしい原石は強力な光を未来に向けて素直に解き放つことができるのだ。
 早朝5時の搾乳から始まり夜の講義まで続く盛りだくさんの実習はあっという間に終わった。早期臨床実習は獣医師を目指す彼らにとって実りの多い楽しい大学生活のスタートになったに違いない。