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第36号:一歩踏み出した「循環」への道程

吉村 格(准教授/牧場長補佐)

2009/1/28 更新
 我々にとって快い鎚音は、新年早々に進められている堆肥舎の新築工事からのものである。3年前、新しい搾乳牛舎が完成し乳牛の飼養頭数が増えたことにより、従来の堆肥舎では糞尿の処理が追いつけなくなってしまった。建築はそれ以来の懸案であった。3月末の完成を目途に富士山から最も寒い風が吹き下ろす中を作業は行われている。計画している建物はけっして近代的なものではないが、昭和の時代に先人が苦労して完成させた糞尿処理技術をもってすれば難局を乗り切るには十分な施設であると思う。
 解決しなければならない問題を要望としてまとめ、折衝を重ね、担当の職員の善意に支えられながら実現していく過程は現場冥利に尽きる大きな喜びの一つである。いろいろな条件で変更を余儀なくされたとしても依るべき所と然るべき落とし所を見極めながら仕事を粛々と進めていく。そして新しく出来上がる施設を基軸にして柔軟な発想で大胆に展開させればよい。
 今回、我々が取りかかった仕事のキーワードは「循環」にあると思っている。残念ながら現在の我々の能力では環境保全型の畜産の実現はまだまだ遠い道程ではあるが、この堆肥舎の新築により大きく一歩を踏み出したことは間違いない。少なくとも、我が国の農業を持続的に発展させるために畜産業者は「家畜排泄物の管理の適正化と利用の促進」という目的に大きく前進することは確かである。あとは考えながら堂々として目的に向かって日々の作業を進めればよい。
 現在、寺岡職員を中心に堆肥化計画を練っているところである。家畜の敷き料の選択、元菌の入手と培養方法、添加剤の選択、水分調整、堆肥の発酵と処理の方法等の情報集めに奔走している。季節の移り変わり、天候の変化、人手や作業機械の多寡なども考慮に入れなければならないだろう。さらに出来上がった堆肥は売却することを前提に考え、大学事務局と連携しながら僅かでも経営に資するように試してみるつもりである。勿論、売却するためには堆肥の商品としての質を評価されるだけでなく我々の能力も問われることになる。このように生産現場という所では待ったなしの楽しい作業が日々目白押しなのである。