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第68号:「学術交流会への参加」

吉村 格(准教授/副牧場長)

2010/11/30 更新
牧場だより「継・いのち」 第68号
 先日、本学で行われた第26回の日本獣医生命科学大学学術交流会には、富士アニマルファームから長田職員が参加し、『ハエ類の誘引・捕獲数に及ぼす色彩の影響』という演題で発表させてもらった。人にも家畜にも不衛生昆虫である刺し蝿の撲滅を目指すという、とてもクラシカルではあるが畜産現場においては今なお解決しなければならない重要な課題となっている。多くの人達から意見や質問を頂いた。座長の森田先生の御配慮もあって田舎者が勤めを果たし無事凱旋することができた。他に富士アニマルファーム関係では、動物科学科動物生殖学教室の4年次学生である加藤みなみさんが『乳用5大品種からの性判別胚作出の試み』についてを発表し参加者の関心を集めた。
 このように富士アニマルファームでは、学生達の卒業論文のための実験をはじめ、本学の先生方や企業の研究なども受け入れ、さらには場員自らも少しずつではあるが発表の回数を増やして、全体で10課題以上が毎年業績として積み上げられている。また今年は繋留しているビーグル犬を使って、動物栄養学教室、獣医内科学教室、獣医生化学教室のそれぞれが得意分野を担当し「ALA給与が肥満犬に及ぼす影響」についての共同研究も実施された。かって私一人が右往左往して研究に取り組んでいた付属小野田牧場時代とは雲泥の差である。十分ではないにしても大学の付置施設として教育ばかりでなく研究の機能も担えることに我々場員は強い喜びを感じている。
 そんな中、問題となっているのが実験に使用する動物に競合関係が生じていることである。講義や研究、会議などで忙殺される先生方の時間には偏りがあり、本学から片道120km、車で2時間の所要時間は大きな負担となっている。しかも実験は、夏季は実習の連続で使いにくく、冬季は路面が凍結して現場まで行きづらい。限られた時間内で集中したスケジュールを組むことが余儀なくされ、同じ動物を使用する実験であれば当然そこに競合関係が生まれることになる。動物を提供する我々としては利用頻度が高くなったことに嬉しい悲鳴を上げているのだが、今後は問題解決のために研究だけではなく実習との関係も含めた話し合いの場が必要であろう。
 さて、富士アニマルファームの使命の一つである研究の受け入れに当たっては、本学の先生方からの希望に我々場員は誠実に応えていかなければならないと考えている。そのために、よりよい動物達を提供できるように日々努力を重ねているのだが、しかし残念なことに実験の対象として要望が多い動物は、富士アニマルファームで充実している乳牛や肉牛などの産業動物ではなく、学生達の実習のためにと繋留をはじめた犬達である。浮世の流れというものを理解できないわけではないが、富士アニマルファームが大学の『牧場』である以上、ここで実施される研究は『牧場』の帰属集団である畜産農家に利益をもたらすものであって欲しい心から願っている。