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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第117号:「付属牧場での研究(動物栄養学教室)」

井上 愛(動物栄養学教室 4年次)
木谷 奈津子(動物栄養学教室 4年次)

2014/08/08 更新
チーム撫の研究
 私達は富士アニマルファームで「品種に適した飼料給与の調査」と「酸化ストレスと乳量の関係」について研究を行っています。
 乳牛は品種ごとに乳量・乳質等の特徴が異なるため、飼料もその特徴にあわせて与える必要があると考えました。そこで、ホルスタイン種、ジャージー種、ブラウンスイス種、エアシャー種、の4品種の乳量と飼料のデータをもとに調査をしています。
 例えば、ホルスタイン種のような乳量が多く乳脂率が低い品種は乳量を多く出すためにはカロリーの高い配合飼料を多く与える必要があると考えます。一方、ジャージー種のような乳量が少なく、乳脂率が高い品種は、繊維質から脂肪分を作り出すので乾草を多く与えた方が良いと考えられます。富士アニマルファームでは、様々な品種が飼育されているので品種ごとの違いを研究するには大変恵まれた環境です。これを明らかにすることにより飼料の与え過ぎを防ぐ事ができ、経営向上にも繋がると考えています。
 また、乳牛を長く健康に飼うためには、病気にかかるリスクを少なくすることが重要です。代謝のバランスの崩れを表す酸化ストレス物質が血中に多くなると病気にかかりやすくなります。乳量が多くなる時期に病気にかかりやすい傾向があります。しかし、この時期の酸化ストレス物質がどのような変化をしているか、乳量とどのような関係があるのかについては、あまり研究されていません。
 私達は、約10ヶ月の搾乳期のうち、乳量の最も多くなる分娩後2ヶ月と、中間地点である分娩後5ヶ月の牛から採血を行い、血中の酸化ストレス物質を測定しています。この2つの時期の乳量と酸化ストレス物質に関係が認められれば、今後酸化ストレス物質を測る事でその乳量が個体にとって負担となっているかいないかを簡単に調べる事ができます。
 そして、この指標を品種ごとや個体ごとにつくる事ができれば、病気にかからず、長く飼う為の乳牛の管理方法の確立に役立つ事が期待されます。
 私達は、これら2つの研究を行うことで少しでも富士アニマルファームの経営向上に繋ぐ事が出来ればと考えています。
 さらに、現場のお役に立てるような研究をする事や、何の為にやっているのか「出口の見える研究」をする事を動物栄養学教室のモットーとして、日本の酪農経営に貢献出来るよう今後も研究に励んでいきたいと思います。