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牧場だより「継・いのち」 第118号 | 「中央動物専門学校 大動物実習」
第118号:「中央動物専門学校 大動物実習」
中央動物専門学校
動物看護関連科主任 臼井 明子
2014/09/01 更新
私どもは、動物看護師やトリマー、ドッグトレーナーを養成する専門学校であり、多くの学生は卒業後、犬や猫を中心とした小動物に関わる仕事に従事しています。富士アニマルファームでの『大動物実習』の主な目的は、給餌や搾乳など作業をとおし産業動物の飼養管理や伴侶動物との違いを理解することですが、それ以上の学びを得ております。
牛の胃汁内に生きる微生物を顕微鏡で観察し、その消化システムの不思議さや、直腸検査では体温を感じ生命が宿ることへ思いを巡らせます。体験したからこそ得られた感覚と知る楽しさは、学ぶことへの意欲につながります。
牛は臆病で習慣性が強く泌乳に影響するため、搾乳は常に同じ接し方、手順が求められます。さらに手順や方法を誤れば、乳質の悪化や細菌感染を起こすかもしれません。その責任を感じながら丁寧に取り組む様子が伺えました。
また乳牛はその大きさ故に反応も大きく、接触や蹴られるなど事故につながりかねません。臆病といわれる動物に恐怖を与えないよう、自身の気持ちや行動を制御することを心がけます。学内の実習では自身に動物を合わせがちですが、動物の本能、個別性を踏まえ対応することがこのように自然と考えられるのです。
生産者は、動物たちの能力が十分に発揮できるよう、防疫に努め、環境を整え、給餌し、常に関心を持ち観察されているでしょう。本校の学生も吉村先生がお話しされた『動物たちにとって昨日の幸せが今日の幸せ』という言葉を反芻しながら作業に臨みました。
日常と比べ、早朝からの実習は体力を消耗するように思われますが、学生たちの表情は生き生きと輝きます。
体を横たえゆっくりと反芻する姿、その穏やかな瞳をみると、物言わぬ彼らから温かなものが伝わり、相手が人であれ動物であれ誰かの喜びは自身の喜びとなることを実感します。働くことの本質と動物に関わる仕事のやり甲斐もこの実習で得ているのです。
実習を終えた学生からは、良質で安全な食を供給する生産者に感謝するとともに、ここでの学びを他者にも伝えたいという感想がありました。
産業動物と伴侶動物の違いではなく多くの共通点を認識し、今後出会う動物たちに活かしてくれることを信じてやみません。
最後に本校の実習にご理解とご協力を賜りました日本獣医生命科学大学と実施にあたって下さった先生方、牧場スタッフの皆様に深く感謝申し上げます。