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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第119号:「はじめての牧場実習」

中垣 和英(牧場実習責任者/獣医学科2年次担任)

2014/09/03 更新
羊追い
 獣医学科2年生の牧場実習のため、8月25日から28日の日程で富士アニマルファームに出かけた。牧場実習は麻布大学との合同実習のため、学生43名、教員14名、実習補助の獣医内科学教室のメンバー10名の総勢67名である。さらに、実習を受け入れてくださったアニマルファームの吉村教授、長田講師及びそのスタッフも加え、70名を越えるメンバーで実習を無事終了することができた。
 今回の実習はコアカリキュラムの新体制で2回目、本実習の充分な経験を積んでいない学年担任が責任者なる指揮不十分な実習となった。幸い、牧場実習の大まかな道筋は出来上がっている上、昨年度の実習プログラムが充分に機能することから、このプログラムの修正だけで、実施することができた。何より、本実習を知る教員の引率力によるところが大きかった。今年の目玉は、麻布大学からお借りしたフィステル装着牛を使った実習であった。多少、反省点はあるが、牧場の施設・資材に加え、この教材を用いた実習は、学生にとって充実した実習であったと信じたい。
 「緑の懐に抱かれて」という言葉に相応しい、この富士アニマルファームのことについても触れておきたい。富士セミナーハウスと牧心セミナーハウスの宿泊施設を備えたアニマルファームは実習にはうってつけの環境にある。何より驚かされるのは、牧場の設備に加え、ハイテクリサーチセンターや臨床センターなどの施設を数人の教員・職員で支えていることである。まさに、支えていると言う言葉が相応しいと感じた。また、アニマルファームを取り巻くこの自然は、獣医学・畜産学関係以外の実習・研修の資源としても、さらに大きな教材が眠っていると思う。周囲に大きな町並みもなく不便さは感じるが、安心安全という面から見れば、この閉塞感は心地がよい。うれしいことに、太宰の言った富士と月見草も見ることができた。