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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第122号:平成26年度 全国大学附属農場協議会秋季全国協議会(1)
       -教育研究シンポジウムを聴講して-

小林 眞理子(教授/副牧場長)

2014/09/26 更新
 9月4日から5日にかけて酪農学園大学で開催された全国大学附属農場協議会秋季全国協議会に参加してきました。この協議会は、大学附属農場・センターが加盟し運営されているもので、現在53大学の54農場およびセンターが加盟している全国組織です。昭和24年の設立以来、全国の大学附属農場、センターが共通して抱える問題点を協議するとともに、政府の関係各省庁との交渉窓口としての機能を担う組織です。
 さて、教育研究シンポジウムは、今回テーマを「現場から学び現場に還す」とし、干場信司酪農学園大学学長のお話しから始まりました。学園創立者の黒澤酉蔵先生の提唱した「健土健民」の考え方を実現する方法としての「循環農法」のご説明がありました。意味するところは、「健康な土地を作り、そこで農作物や家畜の餌を作り健康な家畜を育て、我々はそれらを利用することで健康を維持する、人は自然、植物、動物に支えられて生きている」です。本学の学生で牧場実習に参加された方は、必ず長田雅宏先生から「稲に聞け、農業のことは農民に聞け」「農学栄えて農業滅ぶ」に関しての説明を受けたと思います。干場学長もこれらの言葉を引用しながら、「循環農法」の重要性と酪農学園大学の理念をご説明されていました。獣医保健看護学科の私が受け持っている授業には環境関係のものが幾つかあります。動物を専門とする学科であっても、まずは動物を取りまく環境や自然の知識は重要と思いますが、学生はあまり興味がないようで残念に思うことも度々あります。上記のお話しが聞けて百万の味方を得たような気持ちとなりました。
 続いて、酪農学園大学より小岩政照先生、園田高広先生、北海道大学より星野洋一郎先生、帯広畜産大学より川島千帆先生の講演がありました。獣医学教育、学外連携活動、学内での畜産物加工に関する報告は、いずれも農業が盛んな北海道の大学での様々な取り組みや活動に関するもので、大変興味深いものでした。「現場に学び現場に還す」というタイトルでは、「返す」では無く「還す」が使用されています。とても考えさせられるタイトルだと思います。今年の4月から副牧場長という役職を拝命いたしましたが、牧場実習で大変お世話になっている本学の牧場に何を「還す」ことができるか、こちらに帰ってから考える日々です。

参考資料
1. 全国大学附属農場協議会「http://www.geocities.jp/jufc1949/index.html」
2. 酪農学園大学 ホームページ http://www.rakuno.ac.jp/