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第151号:家畜人工授精師講習会2015

奥島 瑛樹(動物科学科4年次)

2015/11/10 更新
 私たちは、夏休みの後半に家畜人工授精師の資格取得のための講習会に参加しました。家畜人工授精師の資格は国家資格で、大学で行う講習会の他に集中講義が行われます。約40日に及ぶこの講習は就職活動を終えた私たちに遊ぶ暇を与えてくれません。
 大学構内の実習では受講生に顕微鏡が1台ずつ用意され、各自でウシ・ブタの卵巣から採取した卵母細胞を体外受精して受精卵を生産し、受精卵を凍結保存する一連の「顕微操作特訓」が行われました。また、食肉処理場から譲り受けた子宮を用いて、衛生的な人工授精や胚移植の技術習得を行いました。講義では千葉県農業共済組合連合会、埼玉県農林総合研究センター、家畜改良事業団家畜バイテクセンターの方々から畜産の生産現場での利用事例や、技術が抱える問題点などを交えた講義がありました。
 その後、満を持して富士アニマルファームへ向かい、技術習得の総仕上げとしての実習を行いました。実習開催初日には、発情を同期化した実習牛を用いて発情鑑定を行いました。ただボケっと兆候を観察するだけでなく、日ごろウシの世話をしている職員の方々から情報を得るなど要領の良さも試されました。また、ウシの腟粘液の状態からより正確な「種付け適期」を判定しました。
 2日目は、実践形式で静岡県畜産技術センターの研究員の方々に子宮洗浄していただき、その還流液から受精卵を探し、品質を評価しました。生存性が低い性選別精液を人工授精したためか、ホルモン処置計画に不備があったのか、原因は定かでありませんが残念ながらブラウンスイスからは受精卵は1つも採取できませんでした。黒毛和種からは正常な受精卵が4個採取できたため、発情している受卵牛へ移植しました。搾乳牛の体格審査では、講義の際にいただいた資料と牛を交互ににらめっこしながら、見よう見まねで行いました。発情鑑定と同様に、ここまで牛を観察するのは初めての体験で、受講生一同真剣な面持ちで取り組みました。
 最終日は、講習会終了まで時間が許す限り、実習牛に感謝しながら子宮頸管から子宮角への注入操作の練習に励みました。牛を保定しながら術者を見ていると、生殖器を傷つけないように注入器を挿入する際の神妙な顔から「ミッション成功の笑み」へと変貌する様で、技術達成度を伺い知ることができました。この講習会では全員が1頭以上の注入に成功し、自らのスキルアップにつながりました。
 例年、講習会は年々充実し、受精卵採取用の供卵牛、受精卵を移植する牛、そして多くの実習牛の繁殖周期を調整して提供していただいています。各種学科の実習シーズンの中にもかかわらず、周到な準備をしていただいた牧場教職員の方々に対し、感謝いたします。