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第205号:定年退職を迎えて

2019/3/25 更新

吉村 格(教授/牧場長)

 3月末日をもって定年退職を迎えます。無事にここまで辿り着けたのも皆様の暖かい御指導と御鞭撻のおかげと衷心よりお礼を申し上げます。長い間、お世話になりました。
 学校法人日本医科大学 日本獣医生命科学大学という130年にも及ぶ歴史と伝統のある最高学府、職員数6,000人という巨大組織、その中の最も小さな組織の末席とはいえ、私ごときが僅かでもその歴史に関わらせて頂けたのは望外の喜びでした。いろいろやらせてもらいました。いろんなことがありました。恥ずべき事も多くやってきました。

 宮城県にあった付属小野田牧場は酪農の経営実践牧場としてありましたが、30才の私は反対意見を浴びながら学生のための実習牧場に進路を定め展開していきました。廃用牛の肥育、F1牛の生産、胚移植による黒毛和種の生産、緬羊や繁殖牝馬の導入など積極的に取り組みました。移転した山梨県富士ヶ嶺の富士アニマルファームでは、酪農を中心に乳用5品種・肉用4品種の導入、緬羊6品種の導入、山羊の導入、乗馬の導入、さらに取り組んだ黒毛和種の繁殖は今では収入の大きな柱になりました。それらは予算の範囲内で1頭1頭増やし現在の規模と内容までに達することができました。

 私がこれらの仕事を進めるためには多くの皆さんのお世話を受けました。付属小野田牧場時代の遠藤・猪股・大枝・岩城・梅津・奥山・青砥の各場員の皆さんには大変なご迷惑をお掛けしました。また富士ヶ嶺では、栗田・佐藤・細見・長田・寺岡・村松・水谷・本間・中山の各場員の皆さんには大変なご心配をお掛けしました。また牧場長の本好・紺野・小笠・筒井・友金・村田・清水・伊藤・木村・菅原・麻生・左向の各先生方には、私の独善を優しく見守り背中を押して頂きました。

 私の能力に起因する望んだことの果たせない苦しみもありました。優秀な教員や真面目な職員の皆さんとの仕事は楽しい反面、いつも背伸びして対応しなければならず苦労することの連続でした。しかしそんな時は南米パラグアイから3人の子供たちを引き連れて帰国した私に、手を差し伸べてくれた法人・大学への感謝の念が私を奮い立たせました。せめてもの恩返しにと精一杯の仕事はさせてもらったつもりですが、私が良かれと思って職場に打ち込んだ釘は錆びて曲がった鉄の釘だったのかもしれません。評価は若い人に委ねたいと思います。定年退職を迎えてやっと肩の荷が下りたような気がしています。最後に私の好きな歌を一首記して終わりたいと思います。本当にありがとうございました。

 『 劫初より造りいとなむ殿堂に われも黄金の釘1つうつ 』
 (与謝野晶子)