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学生からのレポート

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南アフリカでの野生動物実習に参加して

獣医学科5年次 上玉利 成美

▲サイの麻酔のモニタリングの様子

▲保護区内、雪の中を歩くゾウの親子

 8/31~9/15の約2週間、南アフリカでの野生動物実習に参加しました。野生動物保護に取り組む団体が開催しているこのプログラムでは、各国から獣医学生が集まり、計13名で活動しました。日本、スペイン、ポルトガル、ブラジル、イタリア、デンマーク、パラグアイ、スイス、ラトビアと、文化も価値観も異なるメンバーでした。
 私がこの実習プログラムに参加した理由は、卒業後、イヌ、ネコなどのコンパニオンアニマルだけでなく、様々な動物種を診れる獣医師になりたいと考えているからです。将来のことも視野に入れ、経験値を上げるためのプログラムを探していました。エキゾチックアニマル、動物園動物、野生動物などに関わるプログラムで、かつ見学だけで終わってしまわないような実習をインターネットで探していたところ、現地で活動されている団体の教育プログラムについて知り、参加することにしました。
 応募条件などもいくつかあったので、まずは簡単な履歴書と動機についてメールを送り、アドミッションメールを頂いてからは、飛行機の手配と予防接種などの準備を進めました。

 日中は保護区やリハビリセンターなどを転々と移動し、野生動物が直面している密輸等の問題や、感染症の予防について学びました。サイを始めとして、シマウマ、サル、ゾウ、チーター、ペンギン、ピューマなど、見るだけでなく直に触れる貴重な機会を頂きました。
 なかでも、ゾウが印象的でした。ゾウは動物園動物として日本でも飼育されていますが、実際に触れたことはありませんでした。今回の実習では、引率獣医師がヘリから麻酔銃で麻酔をかけ、安全を確保した後、ゾウに近づき、ワクチンプログラムの注射で使用する耳の血管の動脈と静脈の違いを実感しました。手で実際に触れるとその違いがよく分かり、またその拍動を肌で感じたことがとても興味深かったです。
 また、シロサイの麻酔下でのモニタリングも印象に残りました。実習中は3グループに分かれ、ローテーションしてモニタリングをする機会がありました。サイの皮膚は想像以上に厚みがあって、授業で扱った犬や実験動物とは全く違いました。

 2週間一緒に過ごした仲間とは、いつの間にかファミリーの様な存在になっていました。日本に好感を持ってくれていたので、日本について聞かれることも多く、思いつく範囲で日本について話すようにしたりして、コミュニケーションを取り、打ち解けることができました。移動中や夜は皆で焚き火を囲んで話しをしたり、食事したり、星空を見たりと楽しい時間を過ごしました。周囲からの刺激を受け、今後も夢に向かって頑張りたいと思える仲間に出会えたこと、そして何より様々な場面で支えて下さり、忘れられない実習の機会を与えて下さった獣医師、スタッフの方々には感謝の気持ちで一杯です。