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長谷川准教授がThe Veterinary Journalの2016年George Fleming Prizeを受賞しました

 本学獣医学部獣医学科臨床獣医学部門の長谷川大輔准教授がThe Veterinary Journalの2016年George Fleming Prizeを受賞し、The Veterinary Journal 誌面上で表彰されました(Volume 219, P59, 2017)。

 The Veterinary Journalは1875に創刊された英国の権威ある獣医系科学雑誌であり、獣医系科学雑誌の中では最も歴史の長い雑誌の一つです。長谷川准教授が受賞したGeorge Fleming Prizeはその創刊者であるProfessor George Fleming (1833-1901)の名を冠した名誉ある賞で、日本人では初の受賞となります。George Fleming Prizeは、毎年その年に掲載された論文の中で最も優れた論文の著者に贈られるもので、今回の受賞は2016年に刊行された特別号Special Issue 2016: Recent Developments in Veterinary Diagnosticsに掲載された長谷川准教授の論文‘Diagnostic techniques to detect the epileptogenic zone: Pathophysiological and presurgical analysis of epilepsy in dogs and cats’が対象となりました。

【論文掲載URL】
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1090023316000769

 犬や猫では脳神経科学が十分に発展していないことから、今のところ獣医療において犬および猫で、てんかん外科は実践されていないのが現状です。長谷川准教授は、この論文において犬および猫で、てんかん外科を行うには、人間のてんかんと同様、術前に正確なてんかん原性領域(てんかん発作が起こる脳の場所:発作焦点ともいう)の決定が必要であり、そのためには発作の症候学から様々な脳波検査、様々な画像検査を人間と同様に行わなくてはならず、犬猫におけるそれらの検査方法の現状と将来展望について論述しました。この内容は今までの獣医療ではほとんど述べられることがなく、既存の獣医学に一石を投じるものでした。このような緻密で挑戦的な論述が高く評価され、今回の受賞に結びつきました。

 長谷川准教授は、この論文を含めて犬と猫のてんかん研究者・臨床獣医師として国際的に認知されており、獣医てんかんの国際組織であるThe International Veterinary Epilepsy Task Force (IVETF)の正式メンバーにも選出されています。長谷川准教授が行っている犬猫のてんかん研究は、先端的な獣医療を牽引するばかりでなく、トランスレーショナルリサーチとして人のてんかん研究/治療にも大きく貢献するものです。今回の受賞につきましてお祝い申し上げるとともに、今後の益々のご活躍を心から祈念しております。

(獣医学科 臨床獣医学部門治療学分野I 教授/The Veterinary Journal Editor 盆子原 誠)