生体機能学研究分野

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分野と研究内容

 ヒトをはじめ多くの動物においてゲノム解析が進み、その遺伝子の配列は次々と明らかにされてきました。しかし、それら遺伝子が生体内でどのような機能を有するのかに関しては、いまだ未知な点が多いのも事実です。生体機能学分野研究分野では、“からだの仕組み”を明らかにするために、発生学的手法を駆使して、目的遺伝子を導入あるいは不活化した遺伝子組み換え動物を用いて、その解析を行っています。また、病態モデル動物への細胞移植や遺伝子導入等による治療実験を行い、生体における遺伝子の機能を明らかにし、動物ならびにヒトの医療と福祉に役立つ研究成果を生み出すことを目指しています。

教員紹介

袴田先生
  • 氏 名:袴田 陽二
  • 役 職:教授
  • 学 位:獣医学博士
  • 資 格:獣医師、実験動物技術指導員(日本実験動物協会認定)
  • 専門分野:獣医生理学、実験動物学、発生工学
  • 担当科目:動物機能学、動物繁殖学、実験動物学、動物機能学実習、動物繁殖学実習Ⅰ・Ⅱ
  • 研究者情報 (クリックで研究者情報ページへジャンプします)
藤澤先生
  • 氏 名:藤澤 正彦
  • 役 職:講師
  • 学 位:博士(獣医学)
  • 資 格:獣医師
  • 専門分野:獣医解剖学、薬理学、実験動物学、遺伝子工学
  • 担当科目:動物機能学、動物繁殖学、実験動物学、動物機能学実習、動物繁殖学実習Ⅰ・Ⅱ
  • 研究者情報 (クリックで研究者情報ページへジャンプします)

Close-Up「研究」

スナネズミを利用した脳虚血研究

 スナネズミは脳底動脈の解剖学的特徴を活かして脳虚血研究によく利用されています。当研究分野では脳虚血研究に有用なスナネズミの系統化を目指して、自家繁殖を行いながら脳虚血後の脳梗塞の発生メカニズムの解明ならびにその治療のための基礎研究を行っています。最近の知見として、脳梗塞の成熟にはアストロサイトが極めて重要な役割を果たしていることを明らかにしました(右図:スナネズミ)。

幹細胞を利用した神経再生研究

 一度失った神経細胞は再生しないと過去100年間、信じられてきましたが、ES細胞やiPS細胞の発見がその常識を覆しました。当研究分野では、移植時の免疫拒絶やドナー不足を克服できる点に注目して、自家間葉系幹細胞(MSC)を利用した神経再生を目指しています。現在、各種動物の骨髄由来MSCの樹立と特性解析行っています(下図:ラットMSCの移植実験)。

日獣大オリジナルのトランスジェニック動物の作製

 生体における遺伝子の機能解析のための研究用ツールとして、受精卵への遺伝子導入技術により作成されたトランスジェニック動物が広く利用されています。しかし、その作成には熟練した技術と高額な機器が必要なため、作成自体は一般に普及していません。当研究分野では、日獣大のオリジナルのトランスジェニックラットおよびマウスの作製を目指して研究を行っています。下図は、作製に成功したトランスジェニックマウスの受精卵です。全身性に緑色蛍光タンパクを強発現するGFPマウスは幹細胞を利用した再生医学研究や移植研究に有効利用されています(下図:受精卵へのマイクロインジェクション、GFPマウス)。

消化管粘膜障害研究(藤澤担当)

 ヒトにおいて胃や十二指腸などを中心に発生する消化性潰瘍は歴史的にも地理的にも罹患率の高い疾患の一つです。H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬の登場やピロリ除菌の適用など、迅速な治療、予防が可能となりつつありますが、再発率等、考慮すべき問題点も残されています。また近年、難治性疾患である潰瘍性大腸炎、食生活や老化とも関連の深い逆流性食道炎の増加など粘膜障害の発生は消化管全体に及んでいます。一方、出血や潰瘍などの器質的障害を伴わない機能性胃腸症も増えており、神経系・免疫系との密接な相関性を持つ複雑系である消化管を中心に粘膜疾患モデル(NSAIDなどの薬剤投与モデル)を作製、様々な薬物の治療効果について検討しています(右図:NSAID誘発マウス胃潰瘍)。

学生からの一言

大坂 優衣 (獣医保健看護学専攻博士前期課程2年次)

 脳梗塞は有効な治療法がない難治性疾患の一つです。私はこの脳梗塞に対して新たな治療法である幹細胞療法の実現化を目指し、日々研究に取り組んでいます。具体的にはスナネズミから骨髄由来の幹細胞を単離し、虚血動物に移植して神経細胞の状態を組織学的に解析しています。この治療法がいずれ実現化し、脳梗塞は治る病気と言われるようになることを期待しています。そして脳梗塞だけでなく、様々な疾患に応用して人と動物の健康に貢献していきたいと思います。

小林 茉結 (獣医保健看護学科4年次)

 私は現在、雄性ホルモン濃度の測定や生殖器の組織学的評価などから、外来遺伝子を導入したトランスジェニックラットの生殖寿命を明らかにすることを目標として、研究に取り組んでいます。また、実験のパートナーである動物の飼育は室員全員で行っており、もちろん土日・長期休みも関係ありません。とても責任のある仕事ですが、その分実験動物たちの医療への貢献度や命の大切さについて感じながら、やりがいをもって研究室生活を送っています。研究活動以外でも、みんなでボーリングなどのリクレーションもあり、先生と学生の距離が近くアットホームな研究室で、毎日楽しく過ごしています。