保全生物学研究分野

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分野と研究内容

 近年、さまざまな外的環境が大きく変化してきたことで、生物の在来種の減少や、生物多様性の減失が進んでいます。当研究分野では、野生動物の保護管理や、環境の向上に貢献する研究を行っています。動物生態学の知識や獣医科学の技術などを用いて、外来種が侵入しやすい環境の予測、野生動物における遺伝的構造の変化、生息環境と動物の形態との関係について研究しています。また環境調査に役立つ技術の開発にも取り組んでいます。

教員紹介

梶ケ谷先生
  • 氏 名:梶ケ谷 博
  • 役 職:教授
  • 学 位:獣医学博士
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山本先生
  • 氏 名:山本 俊昭
  • 役 職:准教授
  • 学 位:博士(農学)
  • 研究者情報 (クリックで研究者情報ページへジャンプします)

Close-Up「研究」

ロードキルの発生メカニズムについての研究

動物と自動車との衝突事故は ロードキルとして知られています。小型の動物では動物だけが被害にあいますが、大型動物との衝突では、人間側の被害も小さくありません。本学の近隣地域で最も事故件数が多いのはタヌキとハクビシンです。野生動物とは違いますが、ノラ猫も事故率が高い動物です。興味深いことにどの動物も事故率に性差はありません。事故死体を検査するとどの動物種も似たような傷の分布と程度になっています。こうしたことから動物側の行動パターンには共通したものがありそうだと推測されますが、詳しい事故のメカニズムはまだ解明できていません。環境要因にも確定的なものが見つかっていません。従って、残念ながら事故防止には運転者が気を配るしかないようです。

野鳥の衝突についての研究

飛行中の野鳥が建物や風車などに衝突する事故は Bird collisionと呼ばれます。なお、バードストライクBird strikeという用語は主に野鳥と飛行機との衝突の場合に用いられます。
ガラス窓衝突ではガラスに反射した木々を誤認するタイプとガラスの向こう側に透けて見えた風景に突入するタイプに分けられます。風車や橋では鳥の飛行路と障害物との位置関係が問題視されます。鳥の側でみると、環境に不慣れな渡り鳥や若い個体が死亡事故にあうケースが多いようです。 研究室では、飛行速度を測ったり、衝突エネルギーを出してみたり、紫外線不透過フィルムなどを試していますが、今のところ衝突の詳しい原因や傷害のメカニズムの全貌は明らかになっていません。

大型獣(主にツキノワグマ)の生態に関する研究

野生動物は現在、全国各地で深刻な被害を発生させており、大きな社会問題となっています。そのため、農作物被害や人身被害の軽減を目的とした個体群管理が行われている一方で、個体数の減少および絶滅が懸念される地域では保護の対象にもなっています。すなわち、個体群の絶滅と被害の発生という2つの相反するリスクを最小化するリスク管理が必要になっています。本研究では、野外調査をはじめGIS(地理情報システム)および遺伝子解析などを行い、大型野生動物の生態解明をして彼らの将来を予測することを試みています。

資源投資戦略に関する研究

親は自分の子供を少しでも多く残すため、限られた資源(エネルギー)をどのように投資するのか、様々な戦略を取っています。具体的には、精子特性に対する投資(精子運動を早めるべきか、あるいは精子の寿命を長くすべきか)、卵に対する投資(卵を大きくするべきか、それとも数を増やすべきか)、性比に対する投資(雄を多く産むべきか、あるいは雌を多く産むべきか)は、少しでも多くの子を残すための親の投資戦略です。本研究では、これら様々な親の資源投資戦略を理解するため、魚類および哺乳類の野外調査および室内実験に取り組んでいます。