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吉村久志講師(獣医保健看護学科)が
第5回日本獣医病理学専門家協会(JCVP)奨励賞を受賞しました

 吉村久志講師(獣医保健看護学科)が第6回日本獣医病理学専門家協会(JCVP)学術集会にて、第5回JCVP奨励賞を受賞しました。この賞は、獣医病理学の進歩に寄与する優れた研究を行い、なお将来の発展を期待し得る若手研究者に贈られるものです。
 受賞された吉村講師にお話を伺いました。

――この度は受賞おめでとうございます!受賞に関してお聞かせください。

▲本学名誉教授 髙橋公正先生と

 今回、このような名誉ある賞をいただくことができ、研究テーマについてご指導いただいた東京都健康長寿医療センター研究所の石渡俊行研究部長と、香川大学医学部の松田陽子教授をはじめ、ご支援いただいた多くの皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。本学会では大学院の恩師である本学名誉教授の髙橋公正先生が名誉会員としてご推戴されましたので、一緒に表彰を受けることができたことが個人的には大変嬉しかったです。

――受賞された研究テーマ「長鎖ノンコーディングRNA H19の膵癌における発現と役割の解明 」は、どのような内容なのでしょうか?

▲第6回学術集会にて講演を行いました

 従来、DNAからRNAが転写され、RNAからタンパク質が翻訳され、タンパク質が生命を形づくるという、いわゆるセントラルドグマが分子生物学の中心原理とされてきました。従って“タンパク質を翻訳しないRNAは役に立たないRNAである”と考えられていました。ところが近年、このタンパク質をコードしていないRNAの中でも、「マイクロRNA」と呼ばれる20塩基程度の短いRNAがタンパク質の翻訳を調節していることがわかりました。一方で、200塩基以上の長さの、長鎖ノンコーディングRNAについては研究が遅れていましたが、最近、DNAの転写を抑制するなどの機能を持つことがわかり、これらノンコーディングRNAが実はセントラルドグマの流れをコントロールする重要な因子であることがわかってきました。
 H19はその長鎖ノンコーディングRNAの一つで、胎生期に高発現しており、発生に関与すると考えられていますが、生後発現が低下します。この研究ではヒトの膵癌の一部でH19が発現していることを見出し、in vitro(試験管内)およびin vivo(生体内)実験においてH19がヒト膵癌細胞の移動能や転移能に関わっていることを明らかにしました。

――今後の研究の展望を教えてください。

 本研究では癌細胞のH19発現を抑制することで実験的転移が抑えられたことから、H19を標的とした新たな癌治療法の開発につながる可能性があります。現在は、科学研究費助成事業や「日本獣医生命科学大学特色ある研究プロジェクト」からの支援を受けて、イヌの腫瘍における長鎖ノンコーディングRNA標的療法に向けた研究を行っています。近年欧米を中心に、ヒトと動物の病気の原因、病理発生、診断法、治療法などを比較研究し、動物で得られた成果をヒトの病気の克服のために活用する研究が盛んになっていますが、私も今後は本学の特色を生かし、げっ歯類よりも優れたヒトの癌のモデルとされるイヌの自然発生腫瘍の研究を行うことで、イヌの命を救うとともにヒトの病気の克服にもつながるような成果を出したいと考えています。

――ありがとうございました。

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