食のいま

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第19号:「あまい話(その2)甘いペプチドとは?」

 数段階の処理で、スクロース(ショ糖)の3つの水酸基(-OH)を、選択的に塩素原子(Cl)に置き換えることにより600倍も甘い味をもつスクラロースができました。砂糖に近い甘みといわれています。構造は図に示した通りです。塩素原子の位置を確認してみてください。
 スクラロース(sucralose)は別名トリクロロガラクトスクロースとも呼ばれ、砂糖に分子構造が似ているにもかかわらず、ほとんどが腸では吸収されず、吸収されても血糖に影響を与えず、カロリーにならないノンカロリー甘味料です。また、虫歯にもならず、熱などの加工処理で甘みを失うこともない理想の甘味料と見られています。
 スクラロースは、現在、世界80ヶ国以上で食品添加物、甘味料として使用が認可されています。日本でも安全性が確認されて、2000年7月に食品添加物として認可され、飲料、デザート、ドレッシング等多くの食品で利用されるようになりましたので、名前を見たことがあると思います。アメリカでは「Splenda」という商標で、卓上用のダイエット用甘味料として販売されていますが、日本ではまだ一般向けの販売は行われていません。

 甘味の秘密は化合物の立体構造にありそうですね。私たちはどうやって味を感じているのでしょうか?味物質のどのような構造がその味の発現と関係しているのでしょうか?これからは安全性の問題も含めて、分子の構造とその物質のもつ機能との関係を明らかにしていくことが大切であると思いませんか?食品科学を学ばれたあなたが新しい食品素材を開発する日も近いかもしれません。