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この一冊「もしも人食いワニに噛まれたら!」に獣医学科 水族医学研究室の和田新平教授からコメントが届きました

 2021年は『寝てもサメても深層サメ学』『ウミガメは100キロ沖で恋をする: 絶滅から救うため「ウミガメ保護」と45年間闘ってきた男の全記録』『シャチ学』『イルカと心は通じるか:海獣学者の孤軍奮闘記』『ジュゴンとマナティー: 海牛類の生態と保全』と、海洋生物関連の本の出版が続きました。
 ワニは日本で生息する種ではありませんが、動物園ではおなじみです。では、もしかして、本学にワニの診療が持ち込まれることもあるのでしょうか??
「水族医学研究室」の和田新平教授に聞いてみました。

■和田教授からのコメント

 もし本学にワニが持ち込まれたら、おそらく当研究室で対応するのではないでしょうか。水産養殖種と言えるので、水族医学の守備範囲なのではないかと思います。
 でもたぶん、なかなかそういうことはないでしょう。

 ここ日本では馴染みがありませんが、タイなど東南アジアでは現在、クロコダイル属のワニは養殖種として重要視されています。皮革としてももちろんですが、高級食材としてもちゃんと流通しています。
 食べたこともありますが、鶏肉を淡泊にしたような食感でした。まだまだ珍味という感じの扱いでしたが、タイらしくスパイシーな味付けでステーキのようにいただいたと思います。

 かなり前ですが、タイに実習に行った際、大雨で広域浸水被害がでたことがありました。そして、養殖場からワニが逃げ出してしまい、大変な騒ぎになっていました。テレビでは「捕まえた人には1尾あたり高額の報酬を払います」と報道されていて、当時のガイドさんに「一緒に捕まえませんか?」とちょっと真剣に誘われたりしたのを覚えています。私は水棲動物が専門だと自己紹介したからでしょうね。

 これまで色々な水棲動物とお付き合いして来ましたが、幸か不幸かワニさんとはご縁が無かったです。野生のワニについても、フロリダにあるエバーグレイズ国立公園で、アリゲーターをチラ見した程度です。
 本書にもあるように、人間とワニとの間には不幸な事件も多く知られています。しかし貴重な野生の水棲動物であると同時に、持続的な利用が可能な水産資源という一面も存在する事について、皆さんに興味を持って頂ければと思います。




以上、和田教授からのコメントでした。

 魚類を始めとする水棲生物は、食糧でもあり、ともに暮らす生命でもあります。深刻化する食糧問題を鑑みると、今後は各種の養殖も盛んになり、さまざまな生物の研究はますます重要となるでしょう。また、ワニを始めとする大型の爬虫類や、イルカなどの海獣は、動物園・水族館でも欠かせません。
 ワニは養殖種でもあるということですが、日本ではまだまだ遠い存在です。でも今後、興味を持つ方が増えてくるとまた、わかりませんね!
 次はどんな海洋生物の本が出版されるか、楽しみです。

■関連ページ

この1冊「もしも人食いワニに噛まれたら!」
和田新平教授(研究者情報) 
水族医学研究室