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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

犬飼いさんに届け@愛犬の日
~犬について読もうこの10冊~
翻訳本を中心に「イヌとヒト」の本を選りすぐり

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 ご協力ありがとうございました。


これらの本には、他のイヌ本がふんだんに引用されており、それを探すとかなりの確率で書架にあります。
ぜひ、つぎのイヌ本へと旅してみてください。
ここに挙げた本はすべて当館にありますし、公共図書館にも多くあると思います。

*2013年* 画期的なイヌ本が出版されました

1.「あなたの犬は「天才」だ」
ブライアン・ヘア、ヴァネッサ・ウッズ 著(早川書房 2013年)
原題“The genius of dogs : how dogs are smarter than you think”2013

同時期に青土社から「犬と人が出会うとき : 異種協働のポリティクス」も刊行。「災害救助犬ものがたり : がれきの中のレスキュードッグたち」(ハート出版)や「世界の軍用犬の物語」(エクスナレッジ)といったお仕事犬本が続いたのもこの年です。

「この一冊」 - 図書の紹介- 201505号 | 「あなたの犬は天才だ」

*2014年* 「ヒトとイヌの関係」についての本が目立ってきます

2.「犬と人の生物学 : 夢・うつ病・音楽・超能力」
スタンレー・コレン 著(築地書館 2014年)
原題“Do dogs dream?”2012

コンラート・ローレンツの名著「人 イヌにあう」の刊行から半世紀あまり、イヌの真実の姿について、ヒトとの関係についての本が続くようになりました。「イヌの動物行動学 : 行動、進化、認知」(東海大)と同年に出版されたのが2.です。うつ病やアルツハイマーを発症することについても言及されました。
また、2013年にサイエンス誌でイヌの家畜化の起源について発表され、こんな本も出版されています。

3.「犬が私たちをパートナーに選んだわけ : 最新の犬研究からわかる、人間の「最良の友」の起源」
ジョン・ホーマンズ 著(阪急コミュニケーションズ 2014年)
原題“What's a dog for?:the surprising history, science, philosophy, and politics of man's best friend”2012

*2015年* 「イヌの気持ちを理解したい」という本が増えてきた時期

4.「犬の気持ちを科学する」
グレゴリー・バーンズ 著(シンコーミュージック・エンタテイメント 2015年 )
原題“How dogs love us”2013

イヌの心を調べるために「生きたイヌを(鎮静剤なしで)MRIにかける」というドッグ・プロジェクト奮闘記。アニマルウェルフェアという厳しい条件をどうクリアするか。原題に「Love」という言葉が入りました。著者の愛犬キャリーやライラとの交流にも胸打たれます。
本書の巻頭にはラドヤード・キプリングの童話“Just So Stories”の引用がありますが、同じ文章が2013年の「子犬に脳を盗まれた! : 不思議な共生関係の謎」(青土社)の巻頭に引用されていました。硬派のサイエンスライターがプードル(名前はチャーリー)を飼うことになってしまう、こちらも面白く、そして泣けます。
同じ年に「誤解だらけの"イヌの気持ち":『イヌのこころ』を科学する」(財界展望新社)が出版されたのも印象的でした。

5.「幸せな犬の育て方 : あなたの犬が本当に求めているもの」
マイケル・W.フォックス 著(白揚社 2015年 )
原題“Dog body, dog mind : exploring canine consciousness and total well-being”2007

こちらも「イヌに意識はあるか」という命題に切り込んでいます。アニマルウェルフェアについても声をあげており、2007年の原著出版当時としては画期的な一冊だったのでは。
著者は「はじめに」でコンラート・ローレンツを「友人にしてわが師」と振り返っています。

*2016年* 「動物の認知能力」についての本が目につくようになりました

6.「イヌに「こころ」はあるのか : 遺伝と認知の行動学」
レイモンド・コッピンジャー, マーク・ファインスタイン 著(原書房 2016年)
原題“How dogs work”2015

「ペットフレンドリーなコミュニティ : イヌとヒトの親密性・コミュニティ疫学試論」(ハーベスト社)という専門書が刊行された年です。翌年、「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」(紀伊國屋書店)が登場しました。頭足類や鳥類の知能についての本が増えてくるのも同時期だったと思います。
2017年の「ラブラドール : 世界中で愛されている犬の秘密」(エクスナレッジ)も愛すべきイヌ本です。

「この一冊」 - 図書の紹介- 201801号 | 「ラブラドール~世界中で愛されている犬の秘密」

「動物の権利」について2018年に「動物の権利入門 : わが子を救うか、犬を救うか」(緑風出版)が出版されています。原題は“Introduction to animal rights : your child or the dog?”。2013年の「動物の権利」(尚学社)の原題も” Animal rights : current debates and new directions”。その10年前の「動物の権利」(岩波書店)の原題も“Animal rights : a very short introduction”で、大きなテーマである動物の権利“Animal Rights”についてはいつも直球タイトルであるのが特徴的です。
「留守の家から犬が降ってきた : 心の病にかかった動物たちが教えてくれたこと」(青土社)の出版は2019年でした。動物のメンタルについての本は、今後も増えていくことでしょう。
なお、4.のドッグ・プロジェクトについては2020年に「イヌは何を考えているか : 脳科学が明らかにする動物の気持ち」(化学同人)でその後の展開について描かれました(当館では電子ブックから)。

*2021年* イヌの「愛」や「感情」について真正面から取り組む本が増えてきて涙

7.「犬と人の絆 : なぜ私たちは惹かれあうのか」
アレクサンドラ・ホロウィッツ 著・水越美奈 監修(緑書房 2021年)
原題“Our dogs, ourselves : The story of a singular bond ”2019

2012年の「犬から見た世界 : その目で耳で鼻で感じていること」、2018年の「犬であるとはどういうことか : その鼻が教える匂いの世界」(ともに白揚社)に続く同著者の3冊目。本書は本学教員が監修し「解説」を担当。この解説が、本の紹介としてわかりやすく、専門的な視点もあり、しかも愛犬家のエモさがあるので、うしろから読むのもおすすめです。「認知科学の本であり、しかしときに哲学的で、しかも愛犬の命名やら犬グッズエピソードも満載でとてもエモい」一冊です。登場する著者の愛犬はフィネガンとアプトン。
ちなみにイヌとヒトの相思相愛については2019年に「犬と人はなぜ惹かれあうか」(三賢社)も刊行されています。こちらの著者の愛犬はコテツ。

8.「イヌは愛である : 「最良の友」の科学」
クライブ・ウィン 著(早川書房 2021年)
原題“Dog is love : Why and How your dog loves you”2019

「あなたの犬は「天才」だ」を出版した早川書房が、イヌの翻訳書ブームのなか満を持してリリース。ド直球の原題をド直球にタイトルに据え、まるで笑っているようなイヌの写真も含めて話題になりました。「あなたの犬は…」でも紹介された壮大なギンギツネの実験について再び語られています。アニマルシェルターの実情についてもあり、エモさと共に峻厳さもある本書には「イヌに愛されるという最大級の特権に、相応しい資格が人間にあるのか」という問いがあふれています。著者の愛犬は保護犬出身のゼフォス。

*2022-2023年* ヒトのパートナーであるイヌの来し方行く末

9.「犬だけの世界 : 人類がいなくなった後の犬の生活」
ジェシカ・ピアス、マーク・ベコフ 著(青土社 2022年)
原題"A dog's world : imagining the lives of dogs in a world without humans”2021

人間がすべて消えたら、イヌたちはどうなるだろう。そんなSF的な仮説の元に、綿密に未来をさぐった極めてユニークな一冊。イヌの古代史の振りかえりとともに「人間がいない方がイヌは幸せなのではないか?」という問いかけもされ、壮大なテーマに引き込まれます。これまでのイヌ本の要素を多く持ちながら、ちょっと独特な味わいがあり、イヌ本の奥の深さに驚きました。

10.「イヌ人類最初のパートナー : ハイイロオオカミからディンゴまで」
パット・シップマン 著(青土社 2023年)
原題 “Our oldest companions : the story of the first dogs”2021

2015年の「ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた」(原書房)が話題となった動物考古学者シップマンの新作。前作からさまざまな発見が続き、定説が置き換えられたことに応えてバージョンアップしたような内容です。しかし、こちらもイヌがどういった過程を経て人間のパートナーとなったのかを丁寧に辿っていて読みごたえいっぱい。前作をまず読んでみるのもいいかもしれません。

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犬と飼い主の負担を減らすために/犬の脳腫瘍治療の選択肢を増やしたい
※このクラウドファンディングは2023年5月31日に終了しました。
 ご協力ありがとうございました。

実は犬の脳腫瘍は、ヒトより高い確率で発症してしまいます。積極的な治療を行わない限り、予後が厳しい疾患ですが、現在ある治療法は、犬にも、そして飼い主さんにも大きな負担がかかり、治療を諦めなければならないことも少なくありません。
現在、本学の長谷川大輔(教授)が代表となり、新たな治療法確立に向けたクラウドファンディングを実施中です。全国の大学やクリニックなど、組織の垣根をこえて獣医師が立ち上げたプロジェクトについてお読みいただき、ぜひご支援をお願いします(5月31日水曜日午後11時まで)。