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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第187号:産業動物臨床学研究室牧場実習

獣医学科4年次 安川 美弥

2018/02/09 更新

 産業動物臨床学研究室に入り、もうすぐ2年が経とうとしています。私の所属している研究室は、毎週日帰りで富士アニマルファームに行き、研究室の先生方のご指導のもと牛の採血や直腸検査、産後1ヶ月間の身体検査などの実習や卒論研究を行っています。
 大動物に触れてみたいという安易な気持ちでいた私は、入室直後はどのように牛に接すればよいのかさえわからない状態でした。しかし、先生方にロープワークや立ち位置など基本的なことから、採血方法や直腸検査などを教えていただくうちに少しずつ研究室の実習にも慣れていきました。初めて牛の直腸に手を入れた時のワクワク感、そして卵巣所見を言えたときの嬉しさは忘れることはできません。
 先日、私が初めて人工授精をしたジャージー牛が妊娠したと聞きました。牛の人工授精は、経直腸により卵巣状態が授精に適しているかどうかを確認し、精液を専用注入器により子宮体に入れます。今まで何回も挑戦したのですが、子宮頚管を保持することができず、子宮の入り口まで注入器を持っていくことができませんでした。三浦先生を見ていると簡単そうにみえたのですが、私にはコツがわからず、不安と焦りが増していきました。しかしこの日、三浦先生のご指導のもと、初めて一人で注入することができたのです。人工授精の第一段階をクリア!!本当にほっとしました。約1ヶ月後に妊娠がわかった時の感動はなんとも言いようがありませんでした。今後は順調に経過し、問題なく分娩を迎えられるよう診ていきたいと思います。
 私たちが診ている牛は、搾乳牛として育てられているため、授精→妊娠→分娩→搾乳というサイクルをコントロールしていかなくてはなりません。この大切な人工授精に携わったことにより命を扱う責任の重さを強く感じました。
 富士アニマルファームは大学キャンパスから車で約1時間半かかります。早朝の出発、渋滞など大変ですが、吉村牧場長をはじめとするスタッフの方々、研究室の先生方にご指導いただき、学内では味わうことのできない貴重な体験ができ、獣医学生としてとても充実した日々になっています。
 このような環境で勉強ができることに感謝し、動物たちの命に接していることを忘れず、これからも精進していきたいと思います。