MENU

学生インタビュー

応用生命科学部 動物科学科 新入生対談
農業高校からニチジュウへ ~私たちの現在地とこれから~

 日本獣医生命科学大学には、普通科高校だけではなく、毎年農業高校からも多くの新入生が入学します。
 学校に動物がたくさんいたり、農業の授業で畑を耕したり・・・そんなイメージのある農業高校からニチジュウへ進学した動物科学科の新入生3人に、農業高校からの大学進学や将来の夢、そして大学生活について語っていただきました。

話を聞いた人

糸田 葵 さん  1年次
飛騨高山高等学校
生物生産科 出身(岐阜県)

髙橋 千咲 さん 1年次
杉戸農業高等学校
生物生産技術科 出身(埼玉県)

高橋 奈央 さん 1年次
杉戸農業高等学校
生物生産技術科 出身(埼玉県)

農業高校の生活とは

入試課 鈴木(以下鈴木):みなさんは農業高校を卒業されて、本学の動物科学科に入学されました。
カズサさんとナオさんは同じ杉戸農業高校出身ですね。普通科の高校とはやはり学びが大きく違うと思いますが、農業高校進学のきっかけや高校時代のことを少し聞かせてください。

髙橋 千咲さん(以下:カズサさん):農業高校に進学を決めたのは、中学の時に体験入学をしたのがきっかけで興味を持ったことだったと思います。その体験入学の時にナオと出会いましたね。

糸田 葵さん(以下:アオイさん):わたしは、職場体験で地元の飛騨牛農家を訪問してから、牛の虜になってしまって。
それまでは、地元の飛騨牛祭りに行ったときに、牛っておっきいなぁと思っていたぐらいで、その職場体験をきっかけにわたしの人生にこれからずっと牛がいてくれるといいなと思うようになり、専門的に学べる地元の農業高校に進学しようと決意しました。

高橋 奈央さん(以下:ナオさん):小さいころから動物が好きで、動物飼育のことが学べるようなところに行きたいなと思っていて、同じく体験入学に参加して杉戸農業高校に入学を決めました。クラス替えもないので、3年間カズサとは同じクラスでしたね。今も学籍番号が1つ違いです(笑)

▲対談の様子 Social Distance!!

カズサさん:高校では生物生産技術科という学科に所属していて、専攻として「飼育」「作物」「農業機械」の3つのことを学びます。1年目はまんべんなく学ぶのですが、2年生から3つの中から1つ選択して専門的に学びます。私たちは2年生の時に「飼育」を選びました。

ナオさん:「飼育」の中でも、畜舎で飼育している動物種によって、さらに班が分かれて「馬・牛・羊・豚・犬」などがあったのですが、私はそこから興味があったので、馬を選択しました。

カズサさん:私は、豚を選んだのですが、ちょうど豚熱が流行った時期だったので、実際に学ぶ機会は少なかったです。

アオイさん:わたしの学校でも、岐阜県で豚熱が発生していたこともあって、ほとんど豚はいなかったよ。
わたしの高校の生物生産科では、食品コースと動物コースに分かれていて、2人と同じように1年生は両方学んで、そのあと私は動物コースを選んで、課題研究というかたちで牛をメインに勉強しました。

鈴木:高山の高校なので、飛騨牛の一大生産地ですね。土地柄でやはり牛のことを学ぶ生徒さんは多いですか。

アオイさん:いや、そんなことは全然なくて、むしろ少数派でした。やっぱり、みんな愛玩動物系でペットのことを学びたい子が多かったですね。

ニチジュウへいこう!

鈴木:みなさんは農業高校という専門的に学べる環境から、大学進学を選択したわけですが、農業高校から大学へいくのは多いケースですか?

カズサナオ:いえ、半分以上は就職しますね。―うんうん。

アオイさん:わたしのところは、8割以上が就職しますね。就職先はいろいろですけど、地元の旅館とか、土木系が一番多かったかな?専門的な感じで農家さんに就職する子もいました。わたしの代では1割くらいしか大学進学者はいなくて、あとは、動物看護とかトリマーの専門学校に進学していました。

鈴木:では、そういう大学進学がレアな環境の中で、動物系のことが学べる大学のうち、地方の大学ではなく、とりわけ東京にある本学に進学しようと思った理由はなんですか。

アオイさん:将来学んだことを専門的に活かせるような仕事につきたいと考えたということと、高校時代に所属していた部活動に関係があると思います。高校では、動物研究部という部活に所属していました。活動の幅がすごく広いのですが、1人1頭担当牛がいて、地元の品評会に出すために牛の立ち方などを調教したり、その子の出産に立ち会うこともあります。そうした活動を通して、人工授精師の資格や受精卵について詳しく学びたいなと思ったことがきっかけで、たまたま高校に指導に来てくださっていた獣医師の方の「そういうことを学びたいなら、ニチジュウの動物生殖学教室の牛島教授が第一人者だよ。学生数も少ないので、充実して学べるよ。」という後押しもあり、絶対いきたいなと思いました。数年前から指定校の枠が高校にできたみたいで、チャンスだから頑張りなさいと高校の先生に言われました。

▲担当牛のモモちゃん

鈴木:カズサさんとナオさんは同じ高校から、それぞれ指定校推薦と新しく始まった総合型選抜で入学されましたね。

カズサさん:自分たちの代からニチジュウの指定校になったので、わたしはそれを利用しました。正直わたしは指定校の話をいただくまで、全然この大学のことは知らなくて、3年生の途中までは全く違う分野(幼稚園教諭)を志していました。
せっかく高校で農業のことや動物のことをたくさん学んだのに、大学進学でこれを活かさないのはもったいないなと思ったし、農業高校の教員免許も取れるということで、将来誰かのお世話をしたり、『教育』っていう選択肢もなくなるわけではないので、アリだなと思い、進学を決めました。もともと、ナオがずっとこの大学を志望していたのは知っていたので、わたしが指定校で受けていいのかなって葛藤はあったんですけど、結果的にナオも総合型選抜で一緒に受かって、すごく嬉しかったです。

ナオさん:わたしはもともと、中学生くらいのときから、ニチジュウに行きたいとずっと思っていて、担任の先生にも話しをしていたので、多分一番に先生から指定校の話をされました。でも、どうしても最終的な成績基準が足りなくて、担任の先生に「ふたり、仲悪くなったりしないか?」って聞かれましたね(笑) 総合型選抜が新たに始まるということは知っていたのですが、なにぶん新しい試験制度でデータが無いということで、担任の先生には総合型には挑戦しないで、他の指定校をいただいている大学にしたらと言われたのですが、どうしてもニチジュウをあきらめきれなくて、反対を押し切って総合型選抜に挑戦して、無事合格しました!

受験について

(高橋 奈央さんの総合型選抜合格体験談インタビューは動画で紹介しています)

鈴木:せっかくの専門的な学び舎も、コロナ禍でなかなか思うように研究や活動ができなかったかと思います。そんな中で受験の面接ではどのように自己PRしましたか?

カズサさん:動物に触れたり、飼育したり、学んだりができる環境というのはやはり普通科の高校ではなかなか無いことだと思うので、そういう場所で充実した生活をわたしは送りましたということを必死にアピールしました。自分の母校を自慢してくださいという質問をされた記憶がありますね。
面接の練習は、高校で先生にお願いして、模擬面接を直前1か月くらい毎日集中的にやりました。

アオイさん:わたしは地方出身なので、面接の最後に地元の話で盛り上がったことがインパクト大きすぎて、面接でどんなことを話したかあまり記憶にないです(笑)
志望理由とか自分が話したことに対して、質問が展開していったので、The面接みたいなガチガチの雰囲気ではありませんでした。すごく自然な会話の中で、人間性を評価されていたのだと思います。
私は、ぎりぎりに(9月くらい)指定校で受けることを決めたので、受験準備はすごくバタバタしていました。出願書類の添削や、先生から出された想定問答集に自らの回答を考えて書き出して、模擬面接に臨んでいました。高校時代でいろいろとやった実績はあるんですけど、それを人にうまく口頭で伝える技術が無いと先生に指摘されて、そこを重点的に改善するように練習を繰り返しました。

鈴木:あおいさんは受験のバタバタに加えて、遠方でしたので、合格された後も上京するというプロセスがあったかと思います。いまの一人暮らしの苦労なども含めて、なにか大変だったことはありますか。

アオイさん:物件を探したり、下見しに東京にいくのもなかなか難しい時期だったのですが、わたしは東京にある岐阜県民寮に入寮することが決まったので、そういう点ではあまり問題はありませんでした。地元であった寮の説明会に参加したり、入寮審査があったりと、手続きがいくつかありましたね。ただ、同じところで過ごしている人は、それぞれ違う大学に通っていても、みんな同じ岐阜県民なので、安心感がありますし、同期・先輩も含めていろんな話が出来て、とても刺激的です。

大学生活ついて

鈴木:1年生の前期の授業を経験して、何か興味のある科目等はありますか。

カズサさん:「人間動物関係論」がいろんな話が聞けるので、楽しいですね。
動物科学科の先生だけではなくて、獣医学科や獣医保健看護学科の先生が講義してくださり、幅広く動物について学べます。
※本講義は学内の教員がオムニバス形式で実施。学部・学科を超えた教育が行われています。

ナオさん:野生動物に興味があるので、「野生動物学概論」です。
人間と野生動物との向き合い方とか、この前は正しく調査するための捕獲罠に関する講義がありました。

アオイさん:わたしは「動物生体機構学」かな。動物の体の仕組みとか、ホルモンとかそういうことを学べるのが楽しい。
高校で学んだことに、知識が入ってきて、ボンヤリしていたところの辻褄が合うみたいな感覚を味わえます。

それぞれの講義のシラバスはこちら → シラバス検索ページ

鈴木:講義などを受ける中で、普通科の高校出身の学生と比べて、農業高校出身であることで何か感じることはありますか。

カズサさん:まだ1年生なので、専門的な授業はそこまで多くないのですが、講義の一節で先生が「○○って言葉があってねぇ~」とか、「○○については、まだわかりませんよね」とか少し専門的な用語を紹介したり、それを使って説明してくださるときに、それ知ってるー!なんとなくわかるー!っていうのが結構あって理解度は高いと思います。農業高校で学んだ知識が少し役立ってるなって。

アオイさん:そうだね。動物とか農業とか専門的なことは普通科高校出身の友達に教えてあげたり、逆に高校理科の知識とかで少し自分の理解が不十分なところについては、教えてもらったり。

ナオさん:お互いのわからないところを教え合う雰囲気も含めて、私たちみたいな農業高校出身の学生も一定数いるニチジュウはすごくいい環境なんじゃないかなって思います。私は部活に獣医学科の人もいるので、いろいろ教えてもらってます(笑)

鈴木:本学は動物関連の部活動やサークル団体も多いですが、何か所属されていますか?

アオイさん:「狩猟同好会」と「牛活Jr.」という団体に所属しました。
狩猟同好会は山梨の猟友会の人と連携を組んで、狩りを見学させてもらい、捕ったものを食べる、いわゆるジビエですね。おいしいお肉が食べられるって先輩に聞きました。
ニワトリを捌くのは農業高校でやっていたので、いろいろな動物の捌き方を間近で見てみたいです。
牛活Jr.のほうは、東京の酪農家さんと交流して、牛の品評会のお手伝いや、食育の一環として都会の小学生と牛との交流を企画している「わくわくモーモースクール」のお手伝いをしたりする団体です。牛が大好きなので、牛の魅力をもっと広く発信できたらいいな。

カズサさん:全然動物に関係ないですけど、バレーボールサークルとダイビングサークルに所属しています。コロナで全く活動はできてないですね。その代わりに焼肉屋さんのアルバイトに時間を使っています。わたしも食肉が好きなので、その魅力をアルバイトを通じて伝えています(笑)

ナオさん:わたしは馬術部に入って、週7で活動しています。家が遠いので、なかなか大変ですが、高校時代から好きだった馬に関われるので、とても充実しています。

▲ウマに乗ってみた。

将来について

鈴木:本学では3年生になると研究室に所属して、それぞれ興味のある分野についてより深く探求していきます。将来のことも含めて、いまどんな考えをお持ちですか。

カズサさん:研究室は「システム経営学教室」に入りたいです。生産から消費まで、一連の流れで農業とか酪農のことを勉強したいなと思っています。将来的には、農業の教員免許をとって、教師になりたいので、2年生から始まる教職課程も頑張ります!

アオイさん:入学するきっかけにもなった牛島教授の「動物生殖学教室」か、高校でお肉がよりおいしくなるための飼養管理なども行っていたので、「動物栄養学教室」でお肉にフォーカスして研究するのもいいかなと悩んでます。
将来的な話は具体的に決まっていませんが、地元にもどって大好きな飛騨牛の生産に貢献できるような仕事をしたいです。それは、生産現場だけではなくて、研究とか、PRする立場とかいろいろな側面があるかもしれませんが、何かしら飛騨牛を育てる農家さんと共に仕事ができればと思っています。

ナオさん:野生動物保護官になりたいという夢を、面接の時も話したのですが、大学に入学してからは、いろんな側面からの学びがあるので、農業とか畜産関係に関わる仕事も含めて幅広く考えるようになりました。
私は「食料自然共生経済学教室」に所属して、そういったことも含めて、いろいろ学んで可能性を拡げていければと思います。

最後に受験生へメッセージ

カズサさん:農業高校だと大学に進学する人も少ないし、周りがみんな就職するのをみると、自分の選択がすごく不安になったりすると思うけど、農業高校で学んだことをフルに活かして、さらに伸ばしていける環境がニチジュウには整っているので、周りに振り回されず、まずはニチジュウを第一志望にして、学校推薦型選抜等を活用して、頑張ってほしいなと思います。

アオイさん:大学に入ってから勉強についていけるか、すごく不安に思って大学進学をあきらめちゃう高校生もいると思うんですけど、ニチジュウは周りの友達とか人の環境もすごく良くて、私の場合わからないところとかを普通科高校出身の友達と教え合ったりして、助けてもらっているので、そんなに気負わずに選択肢の一つとしてニチジュウって大学を調べてみるところから始めてみてください。きっと自分のやりたいことができるいい大学だなと思うはずです。わたしは牛が好きっていう気持ちを受験でもアピールしたし、いまもいろんなこと学びたいっていう想いのベースになっているので、自分のコレが好きって気持ちを大切にすると、それが勉強のモチベーションにもなるし、アピールポイントにもなると思うので、頑張ってください。

ナオさん:大学に入ったら、友達出来るかなとか勉強についていけるかなとか、不安なことばっかり考えてしまうこともあると思うんですけど、わたしも何とかやれていますし(笑)、何より好きなことが学べたり、部活で好きなものに打ち込めたりとすごく充実した生活をニチジュウで送っているので、自分の好きなことができるように頑張ってください。

一同:本日はありがとうございました。

農業高校を経て、本学動物科学科の多様な学びの中で、どのように成長していくのか、3人の’’これから’’が非常に楽しみです。

インタビューはこれでおしまい。