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卒業生インタビュー

木岡 真一

眼・鼻・口腔内・首回り・脇下・腹部・尾部などを、毎日触診して
健康状態をチェックしています。※ 通常はマスク着用

木岡 真一2006年卒業

東京動物園協会 恩賜上野動物園 西園飼育展示係
応用生命科学部動物科学科 卒業

エビデンスに基づく飼育管理を徹底し、
動物の保全や生活の質的向上を実現させたい

上野動物園の飼育員として、絶滅危惧種であるアイアイなどを担当しています。
アイアイは夜行性で寒さに弱いため、調光機能や空調機能を備えた屋内環境を用意し、本来の生息地であるマダガスカルの日照時間や気温などを再現。
適切な管理によって保全に貢献します。
私の役割は、動物が忘れかけている野生環境での行動を引き出す工夫を考えながら、生活の質を高めていくこと。
これは「エンリッチメント」と呼ばれ、世界中の動物園で主流の考え方です。
ときには草食動物に肉食動物のフンのニオイをかがせるなど、動物にとって嫌な経験をさせることもあります。
過度なストレスにならないよう注意が必要ですが、本能を呼び覚ますためには大切なことなのです。
また、飼育管理では数値化できない「信頼関係」に頼るよりも、データに基づく客観的な評価を重視します。
個体ごとの性格を自分の主観で決めつけてはいけませんし、動物に何かできないことがあれば、飼育管理に原因があると考えます。
ここに活かされているのが、在学中の動物栄養学教室での経験です。
エサの量や栄養素、合計カロリーなどに応じた血中成分への影響を分析するデータ処理手法を学んだことで、再現性の高い飼育管理につながっています。
そもそも動物園における飼育管理の原点は家畜管理の手法。
適切な栄養管理のもとで飼育できれば病気の予防にもつながるのです。
今後は、園内で得た知見を論文にまとめ、学会などで発表するほか、他の動物園でも実践できるノウハウとしても発信していきたいと考えています。