卒業生インタビュー

産業動物

机上で学ぶ知識はもちろん重要ですが、それ以上に実習で得られた知識や技術は今の仕事でも生かされていると感じています。

片桐 憲和さん

のべやま動物診療所

2013年3月卒業

この仕事を選んだ理由は何ですか?

幼少期から、産業動物獣医師として働く父の姿を見ていたこともあり、自然と同じ道を目指すことになりました。開業獣医師として365日24時間体制で診療にあたり、地域の酪農・畜産業の発展に貢献していた父の姿は、幼心に誇らしく思えました。また当時、小動物の病院がなかったこの村では、犬猫の体調不良の際にも相談にのり、診療をしていました。実家の1室が診療事務所になっていたので、治療を行う父の姿を間近に見て、ときには手伝いをすることもあり、獣医療を身近に感じていました。
産業動物獣医師を目指すと決めたとき、就職先として考えたのが北海道でした。やはり牛の数が圧倒的に多く、酪農大国と呼ばれる北海道。その地で、産業動物獣医師としての知識・技術を習得したいと考え、十勝NOSAIに就職をしました。約7年間を北海道・十勝で過ごし経験を積んで、地元に戻ってきました。今は背中を見て育った父そして叔父とともに開業し働いています。

仕事の内容を教えてください。

私は主に牛を診療対象とした臨床獣医師です。畜主からの診療依頼を受け、往診車で農場に向かい診療します。身体検査だけでは診断が困難な場合には、血液検査や超音波検査、X線検査などのツールを用いてより正確な診断をし、治療するよう心がけています。
乳牛は子牛を生むことで初めて牛乳が搾れるようになります。肉牛もまた、生まれた子牛を育成して個体販売することで農場の収入となります。産業動物において、妊娠・出産が適正な間隔で滞りなく行われることは、その動物を飼育する農場の経営にとって重要なファクターのひとつです。人医療で行われる不妊治療・妊娠診断・産後検診などを牛では繁殖検診として行います。そうすることで、農場の繁殖管理をサポートし生産性の向上につなげています。
また夜間も急患対応をしており、24時間365日、微力ながら地域の農場を支えられるよう、診療所スタッフと協力し日々の業務を行っています。

仕事のやりがいを教えてください。

ワンヘルスという言葉が提唱されて20年近くになりますが、人と動物との共通感染症や薬剤耐性問題は、終わりなき課題で今後も継続して取り組んでいかなければなりません。そして産業動物獣医師に求められる社会的使命は、安全安心な食糧生産に寄与することです。
私たちが診療対象としている牛(産業動物)は犬や猫等の伴侶動物とは違い、その飼養目的が食糧生産にあります。したがって、治療目標もその後の生産性が見込めるか否かによって大きく変わってきます。同じ命を救う仕事であるには変わりないのですが、そういった事情の中で、できる限り動物に寄り添いながら、畜主と相談し治療方針を決定していきます。時には元気はあるのに諦めざるを得ない場面にも遭遇します。とはいえ、一つの命と向き合い、その命を救えた時にはこの仕事のやりがいを感じます。

学生の時、打ち込んだことは何ですか?

サークルはバスケットボール同好会に所属し、先輩・後輩そして同期に恵まれ楽しく充実した学生生活を過ごしました。また、卒業までの6年間は、元々車好きだったこともあり、ガソリンスタンドでアルバイトもしていました。接客業を経験したことでコミュニケーションスキルが身についたと思います。
3年生になり研究室は内科学教室に入室し、循環器について理解を深めました。研究室での対象動物は犬猫であったため、現在対象にしている産業動物に直接関係しているわけではありませんが、当診療所には小動物部門があり、サポートする際などには知識が役に立っています。
また、大学では牛や馬に触れる機会が少なかったため、牧場における酪農実習や、学外の家畜診療現場で行われる臨床実習に参加しました。机上で学ぶ知識はもちろん重要ですが、それ以上に実習で得られた知識や技術は今の仕事でも生かされていると感じています。