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卒業論文「水族館における教育普及活動の効果」に取り組み中

4年次 後藤優花子(食料自然共生経済学教室)

 私は現在、「水族館における教育普及活動の効果」について卒業論文に取り組んでいます。水族館や動物園の教育普及活動とは、野生の生き物についての解説やパネル展示、ガイドツアーのような活動を通して動物の本来の姿をわかりやすく「伝えること」を主とした活動のことを指します。
私がこのテーマで研究をしようと考えたのは、研究室で3年次に取り組んだ一人一研究の調査からです。食料自然共生経済学教室では3年次に全員がプレ卒論ともいえる一人一研究をまとめます。
 私は、「コロナ禍閉館時における水族館の生き物の様子」というテーマで一人一研究を行いました。コロナ感染症対策のため閉館したオーストラリア・ケアンズ水族館の生き物たちが、来館者がいなくなったことで寂しいと感じてうつ症状を示したという記事を発見し興味を持ったためです。この記事から、コロナ禍で閉館した日本の水族館でも同じような様子が見られるのか調査してみようと思い立ちました。
 そこで来館者のいないコロナ禍以前とは異なる環境で生き物たちはどのような変化を示し行動するか、また水族館はどのような対策を行っているかを葛西臨海水族園へのアンケート調査をもとにまとめました。調査の結果から、日本の水族館の生き物たちは、コロナ禍の新しい環境に戸惑いは見せたもののうつ症状は見られなかったと分かりました。
 調査を行う中で、各館がSNSやホームページ、YouTubeで発信している生き物の様子や生き物講座、館内の案内などはこれからの教育普及活動の在り方のヒントになるかもしれないと考え、卒論では教育普及活動に焦点を当てることにしました。
 現段階では論文のレビューを行うとともに、都内水族館の教育普及活動にも参加して分析を行なっています。実際に参加して興味深かった活動は、葛西臨海水族園の18歳以上限定の「おとなのガイドツアー ~泳ぐためではないヒレの話~」です。ガイドさんの案内で水槽を巡り、生き物を近くで観察しながらイラストや写真、骨格標本と比較しながら解説を聞くというツアーでした。大人向けということで、専門的な用語や繁殖の話題を交えて非常に興味深いお話ばかりでした。
 今後は葛西臨海水族園、すみだ水族館、サンシャイン水族館の3館を対象に教育普及活動についてアンケートを行う予定です。アンケートでは、教育普及活動の対象年齢や活動のテーマ、参加者の感想等を調査する予定です。これから大詰めを迎えますが、自分でもこの論文を完成させるのが楽しみです。

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