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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第246号:家畜人工授精師講習会に参加して

2023/11/7 更新

システム経営学教室4年 徳永麻衣

 家畜人工授精、体内受精卵及び体外受精卵移植の資格を取得するため、8月7日から9月15日の約1ヶ月半にわたり家畜人工授精師講習会に参加いたしました。講習会に参加するきっかけは、将来畜産に関する職に就きたいと考えているためです。講習会では関係法規など座学から直腸検査や卵子操作、注入器の操作などの実習までを幅広く学び、より知識を深めることができました。

 私のゼミでは科学実験的な操作がないため、初めは周りの受講生に手助けしてもらいながらの作業でしたが、講習会の終盤では一人でも一通りの作業ができるようになりました。付属牧場である富士アニマルファームでは、実習牛を使って直腸検査と精液や受精卵の注入操作を行い、生体を使用した操作ならではの新たな発見がいくつもありました。特に、子宮の大きさや感触は個体ごとに異なったので戸惑うことばかりでした。実習最終日にはコツを掴めるようになりましたが、自身の技術を磨くにはまだまだ経験が必要であると感じました。約1ヶ月半と長いようで短い期間でとても濃い経験ができたと思います。

 最後になりますが、本講習会を修了できたのは本学の先生、外部講師の方々、富士アニマルファームの萩田先生ならびに牧場職員の方々、実習の準備をしてくださった学生の皆さんのおかげと感謝申し上げます。

左橋元さん 右徳永さん

東京農工大学生物生産学科4年 花村克起

 家畜人工授精師講習会は、学内で学科講義とウシ・ブタの体外受精卵作出を行い、富士アニマルファームなどの関連機関では家畜の体型審査や直腸検査、注入操作などの実習を実践形式で行いました。

 これまで知識として学んできた様々な工程を実習する中で、受精卵作出の際に行った操作は戸惑うことばかりでした。緻密な作業が苦手な私には難しく、うまくいかないことも多かったのですが、基礎から丁寧に教えていただいたことで、講習の終わり頃には、ある程度の自信を持って操作できるようになりました。最終的に作出された胚盤胞を見て、知識と経験がつながったような感覚があり、本講習会の中でも特に印象に残っています。

 生体を用いた実習では実際の操作と練習との差を強く感じました。屠体の子宮を用いた練習でうまくいった注入操作も、生体で行うと手の感覚のみではうまくいかず、悔しい思いをしました。最終的には1頭のみでしたが、子宮頸管を通すことができました。家畜の体型審査では、普段注意して見ないような細かい部位の見方や評価について知ることができ、家畜の見方が変わりました。講習会を通じて、自分の中でまだまだ実力が足りていないと思いつつも、知識・技術ともに身についたと感じることができました。講習会自体は修了しましたが、今後も本講習会で得たものを基礎として技術習得・習熟を続けていこうと思います。

 最後になりましたが、講習会を無事修了できたのは本講習会に携わっていただいた先生、講師の方々、実習に協力してくれた実習牛、共に講習会を受講して支えてくれた仲間のおかげです。この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。

花村さん
花村さん

全国酪農業協同組合連合会 酪農技術研究所 河北眞希

 私は福島県の牧場で約130頭の搾乳牛の飼養管理を行っています。当牧場は新入職員や学生、新規就農を目指す方の研修の場としても利用されています。

 新型コロナの流行やウクライナ情勢、急激な円安により飼料価格が高騰し、酪農家の経営は苦戦を強いられています。その中で副産物収入が経営安定化において重要視され、ホルスタインの雄子牛やF1の価格が不安定な一方で、和牛子牛では安定的に利益を見込めるので、酪農家への技術導入が求められています。これまで牧場内で行ってきたET技術を用いた和牛生産は、外部の獣医師に依頼していたのですが、なかなか成果が得られませんでした。その原因の1つとして、ETに適した状態の牛を選べていないのではないかと考え、その解決策としてET技術や関連する知識を身につける必要性を感じました。私がET技術を習得することで、酪農業界を成長させる一助になると考え、飼養管理技術向上とAI・ET・IVFの技術習得を目的に参加致しました。

 講義では、繁殖に関わる知識を基礎から学び直すとともに、この分野の最先端で研究されている講師や現場で活躍されている獣医師から最新の情報を得ることができました。AI・ET手技の実習は屠体と生体の両方で学びました。AIを始めて2年半になり、その手技がルーティン化してきたなかで、AI時の衛生管理や注入器挿入時の悪い癖をご指摘して頂くことで、自身の技術を向上に役立ちました。体外受精卵の作出に関わる実習では、顕微鏡下で卵子操作を手早く正確に行うことが求められ、高度で繊細な技術が必要であることを認識しました。特に、用途に応じたピペットをその都度作成するのに苦労しました。実習期間中で納得する技術に到達するには至りませんでしたが、いつか自分で精液を選択して受精卵を作出し、選抜した牛に自分でETを実施し、最終的に誕生させた子牛を育て販売したいという新しい目標ができました。

 最後になりますが、1ヶ月半大変お世話になりました。ご指導頂きました先生方、温かく迎え入れて頂き不慣れなことが多い私を沢山助けてくださいました学生の方々に、この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。

奥から折笠さん堀北(河北?)さん橋元さん
折笠さん

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