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長谷川大輔教授(獣医学科)が公益財団法人てんかん治療研究振興財団より2018年度研究褒賞を受賞しました

 本学獣医学部獣医学科 長谷川大輔教授が「自然発生性てんかんモデルとしての家族性側頭葉てんかんネコの確立」という研究テーマで、公益財団法人てんかん治療研究振興財団より2018年度研究褒賞を受賞しました。
 今回の受賞にあたり、長谷川教授にお話を伺いました。

――受賞された研究テーマ「自然発生性てんかんモデルとしての家族性側頭葉てんかんネコの確立」について教えてください。

 ネコはその頭蓋、脳の形態から、古くからてんかんおよび脳研究に頻用されてきた(実験)動物種です。しかしながら、これまでネコの自然発生性(天然の)てんかんモデルはありませんでした。これは獣医臨床でもネコのてんかんの頻度が低いこと、および多くの飼い猫は保護された猫が多く、家系調査ができなかったことが関係していると思います。今回(といっても2009年まで遡りますが)我々は天然のてんかんネコ家系を発見し、系統維持、それらの病態生理学的・臨床学的特徴付けを10年かけて行ってきました。そしてこのてんかんネコ達の学術的な貴重性・有用性が認められたと言うことだと思います。

――ネコを研究対象としているのはなぜでしょうか。

 犬の方がてんかんの発生率は高く(約1~5%)、また純血種が多いため、家系調査も比較的容易です。しかしながら、犬は品種によって、さらには同じ犬種であっても頭蓋や脳の形態に品種差・個体差が大きく、再現性がとれないため、実験研究向きではありません。また犬の脳は猫に比べ非常にてんかん発作に弱い/脆いという事実もあります。なので、幾つかの自然発生てんかんイヌのモデル化は過去に報告されていますが、今回のネコほどのインパクトは残せていません。

――てんかん外科導入の実現に向けて、今後の展望をお願いします。

 本学の特色ある研究プロジェクトおよび科学研究費助成事業の元祖がこのてんかんネコ研究です。これまでの研究成果から、我々のてんかんネコの発作焦点は海馬・扁桃体に存在することが「ほぼ確実」です。てんかん外科を行うことで、この「ほぼ確実」が「確実」に変えることができると思います。そうなれば、これまで我々のてんかんネコで行ってきた手順で発作焦点を同定していけば、犬でも猫でもてんかん外科が可能であり、薬だけでは発作をコントロール出来ない、難治性てんかんの犬と猫達に新しい治療法を提供できるようになると思います。

――ありがとうございました。

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