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教員からのレポート

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中央大学附属高等学校の生徒さんに特別実習を行いました!

獣医保健看護学応用部門 保全生物学研究分野 講師 嶌本 樹

 2023年7月11日に中央大学附属高等学校から16名の生徒さんが日本獣医生命科学大学に来校しました。中央大付属高校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、今回はSSHのプログラムの一環として本校の教員による特別実習を行うこととなりました。中央大付属高校の岡崎先生と獣医保健看護学科の保全生物学研究分野は普段から高校生の卒業研究の指導を通して交流があったため、今回このような実習を実施する運びとなりました。実習は保全生物学研究分野の山本俊昭教授が主に担当し、山本教授と同じ研究室の嶌本樹講師も補佐に入りました。実習内容としては、獣医保健看護学科2年次で開講している「野生動物学実習」の一部をアレンジしたもので、日本に生息する大型哺乳類であるツキノワグマ、カモシカ、ニホンジカ、ニホンイノシシ、ニホンザルの5種の骨格標本を使用し、動物による形態の違いを学んでもらいました。

▲写真1.中央大付属高校の岡崎先生が山本先生を紹介する様子

▲写真2.ニホンジカの頭蓋骨を一生懸命に観察している様子

▲写真3.岡崎先生も生徒さんに交じって標本の観察をしている様子

 今回の実習では、感覚的に比較するのではなく実際に骨の大きさを測ってみて、動物による形態の違いを実感することに主眼を置いています。例えば、脳の容量(脳容量)は動物種によって大きく異なりますが、それは体の大きさに比例します。ツキワノグマやニホンイノシシはニホンザルと比較すると脳容量は非常に大きくなります。しかし、体の大きさに対する脳容量を比べてみると、ニホンザルは体の大きさに対してかなり大きい脳容量を持っていることがわかります。単純に大きさを比較するのではなく、動物の体の大きさも考えながら観察することで、それぞれの動物の体の特徴を捉えることができます。ニホンザルが体の大きさに対して脳容量が大きいことも、霊長類が持つ特徴だと言えそうです。

▲写真4.脳容量をプラスチック製の玉で測定している様子

 頭蓋骨だけではなく、全身の骨の種類や機能について学びながら、最後は体系をイメージしながら綺麗に並べてみました。一つの骨が独立して機能するのではなく、骨と骨が連動して骨格を作ることを意識し、一個体の動物の骨を復元するつもりで実習を行いました。普段は触れることのない野生動物の骨格標本を様々な角度から観察し、どのように繋がっているのかをよく考えながら、実習を受けている様子が見て取れました。

▲写真5.二人一組の班でそれぞれ相談しながら骨を並べている様子

 今回の実習はSSHの取り組みの一環として行われた特別なものですが、今後もこうした機会を通じて、若い世代に野生動物の魅力と共存への課題を伝えていきたいと考えています。また、獣医保健看護学科では、「動物との共存」に取り組むことも理念の一つです。こういった機会を通じて、少しでも獣医保健看護学に触れてもらえていれば幸いです。
 最後に、参加していただいた生徒さんたちと本実習に関わった教職員の皆様に心から感謝を申し上げます。
(文責:嶌本樹)

▲写真6.集合写真。前方の列の一番右が山本教授で後方の列の一番右が嶌本講師。

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