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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第200号:手術実習を振り返って

獣医学部獣医学科 産業動物臨床学研究室

2018/11/13 更新
獣医学科5年次 安川美弥

 乳牛にとって一番大切な分娩を今回、特別に帝王切開で行いました。
 自然分娩は見たことがありましたが、帝王切開での分娩は初めてだったので、緊張して手術日を迎えました。後藤先生方の指導、室員のサポートのおかげで、無事に子牛を取り出すことができました。生まれてきた子牛を後輩の室員にすぐに渡し、私は子宮の縫合に取りかかりました。初めての手技で時間がかかってしまいましたが、良い経験になりました。最後までご指導してくださった先生方、ありがとうございました。
 分娩は、ただ子牛を取り出すだけではありません。泌乳期の飼料管理と人工授精、分娩前(乾乳期)の飼料管理、分娩直後の子牛と母牛の健康管理、母牛が搾乳牛として働き、そして次の分娩へとつなげていくことです。
 たった数時間の分娩を安全にするためには長い時間をかけて丁寧に管理をすることが必要です。それを将来獣医師として酪農家に指導していかなくてはならないと強く感じました。

獣医学科5年次 小山 朔

 5月19日、富士アニマルファームにて第四胃変位整復術を執刀させていただきました。第四胃変位は、分娩時の過肥や濃厚飼料の過剰摂取などにより、本来腹底にある第四胃が移動し、胃の運動性の減退、緊張性の低下が病因となり発生します。乳牛では、急激な乳量の低下、食欲不振および第一胃運動の減退などを示す重大な分娩後疾患です。
 当日は、罹患牛がいなかったため、実習牛を第四胃変位に見立てて手術を行いました。牛の右?部を切開し、開腹しました。腹腔内に手を入れ、臓器を触ると、子宮を中心に広範囲に癒着が見られたため、第四胃を確認した後、固定はせずそのまま閉腹に移りました。
 実習で第四胃変位整復術を見学したことはありましたが、自分の手で最初から最後まで手術を行うことは初めてで、不安と緊張の中、手術に挑みました。牛の状態を確認しながら麻酔を調節したり、腹腔内の癒着により第四胃を探すのに苦労したりと、実際にやらなければわからないことが多く、とても貴重な経験をさせていただきました。術後は、傷口や健康状態に問題がなく、安心しました。今回このような実習の機会を下さった牧場の皆様をはじめ、先生方に感謝致します。ありがとうございました。

獣医学科4年次 井上 拓馬

 今回、私が所属する産業動物臨床学研究室では富士アニマルファームで後藤先生の御指導のもと、実習として「第四胃変位整復術」を行う機会をいただきました。当日は朝から富士アニマルファームに研究室員総出で赴き、慣れない外科手術に緊張感を漂わせながら、処置が始まりました。私は執刀役として参考書などを念入りに読み込んで予習をすることで、自信をつけて臨んだつもりでした。しかし、やはりいざ手を動かすという場面になると、この生体に大きく干渉する操作に尻込みをしてしまいました。「経験から学ぶ」ことで生みだされる自信に勝るものはないと思います。参考書から多くの知識を得ても「ウシのお腹を切る」という実際の経験がなければ、自信を持ってその操作を行うことはできませんでした。私は今回の実習で初めてウシの手術を経験しました。そしてひとつひとつの操作をするたびに手から伝わってくる感触や生体の反応などから多くのことを感じ取り学ばせていただきました。私にとってこの経験はこれから先大きな自信に繋がると思います。そして、この貴重な経験から得たものを今後活かせるように日々の勉強を頑張ろうという励みになりました。お世話になりました先生方や牧場スタッフの方々に深く御礼を申し上げます。お忙しい中このような貴重な機会を設けていただき、本当にありがとうございました。