社会人を目前にして大学生活を振り返るとニチジュウや所属研究室での暖かな学生生活が思い出されます。4年間にわたる大学生活のなかで、3年生以降の2年間は研究室に所属し学んだわけですが、研究室選びほど大事なものはないと思っています。そこで、このレポートでは私が所属してよかったと思う研究室について紹介し、皆さんに情報提供すること、そしてひいては皆さんを勧誘することを目的としています。
我が食料自然共生経済学教室では、その名の通り、「食と農、自然と動物」が共生する豊かな社会の創造を目指し、研究を行っています。研究室の雰囲気は穏やか&和やかで、植木先生や桑原先生は学生の関心を上手く研究に結びつけられるように優しくご指導・応援してくださるスタイルです。
他の多くの実験系の研究室と異なり、動物の生物としての個体そのものではなく、動物と人間との関係や農畜産物の生産・流通・消費などの動物に関連する周りのことを研究することが多いです。そのため、本研究室では動物を飼育しておらず、日々の動物たちの管理などの作業はありません。その分の時間は、ゼミで行われる文献調査の準備や3年次に卒業論文の前段階として行う一人一研究、4年次の卒業論文の調査・研究・フィールドワークに充てることができます。
卒業論文のテーマとして扱える範囲は広く、自分が強く興味を持って取り組めるテーマを選択することができます。実際の私の卒業論文では農業と同じく興味を持つ分野であった福祉を組み合わせ、「練馬区内の農福連携」をテーマとして調査しました。農福連携とは、障害者等が農業活動を通じて社会参画する取り組みのことですが、その実現には農家と福祉施設の協力が欠かせません。その仕組みを明らかにするために、練馬区で成功している事例を探し、該当する農家と福祉施設に合計3日間の調査を行いました。具体的には、東京では珍しいアスパラガスも栽培している都市農家と福祉施設との連携です。作業所にかよう利用者が収穫されたアスパラガスの袋詰め作業を行います。調査によって、地域とのつながりにより取り組みが円滑に進められたことや、農福連携により農家と福祉作業所の両事業者が得られた様々なメリットなどの新たな事実が判明しました。自ら現場に出て行うフィールドワークにより収集した生の情報から研究成果が得られれば喜びもひとしおです。研究によって物事を明らかにし、論文を仕上げる達成感は素晴らしいです。卒業論文への取り組みは私の就活にもポジティブな影響を与えており、福祉関係の企業から内定をいただくなど、仕事にもつながっています。
最後になりましたが、本稿が大学・研究室選びに悩む皆さんの一助となれば幸いです。
▲調査先の福祉施設にて筆者(弓納持)が
アスパラガスの袋詰めを体験する様子